案内通りに控室へ入り、壁に寄せてあったベンチに腰掛ける。
……頭痛い。
一次試験中、強めの音波を出し続けていたせいか、頭が疲れている。少しでも頭を休めようと、顔を伏せていれば、大きな声が降ってきた。
声が大きい。
いきなりなんだろうか。私にかまっていないで、休んだらどうだろうか。
いや、どうみても元気が有り余っていますが。
体育祭。よりにもよってその話題を。
できれば出して欲しくない話題だが、まぁ。
雄英生である以上、必然ですかね。
切り上げる方法も浮かばない上、人脈を広げて損はないらしいから、大人しく話に応じる。
まさか、まだコネ発言が尾を引いて……いやいや、体育祭優勝者とはいえ、あんなのただの高校生の戯言にすぎない。きっと——
やっぱり……素直に嫌なところへ踏み込んでくる。
大丈夫、大丈夫。
なにも怖くない。間違っていない。
……良かった。誤解はされていないようだ。
一応、お礼を伝えておく。
誤解されていないのなら、本当に良かった。まぁ、メディアでもゴタゴタ言われていた記憶がないし、きっと世間的にもほとんど覚えていないようなことなのだろう。
勇ましい……あ、そうだ。
数年前に読んだ本の内容を思い出しながら、口にする。
私も、勇ましくありたい。
一際大きな声を出されて、少しだけ背を反らした。
また誰かを見つけたのか、突然さっさと他の場所へ移動する夜嵐くんの背中を見送った。
名は体を表す、と言うが、まさにその名の通り嵐のような人だった。
ほんの少ーしだけ、嫌な嵐を残されてしまいましたね。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。