結婚して1年
男が不倫して出ていった
エミさんを置いてった
泣いて部屋の角に蹲るエミさんを後ろから抱きしめた
また1年が過ぎた
母親がまた新しい人を連れてきた
ママより2つ下の男の人
そして、僕らより2つ下の弟
フードを深々と被り、表情が読めない
鋭い緑色の目だけが僕らを睨む
でも、あの子は仲良くなれなかった
仲良くさせてはくれなかった
1人で遊んで、誘えば逃げた
家では自室に、籠もる
保育園でも、他の子と遊ぶ
そんなある日、母親も男も帰ってこない日
おばあちゃんが迎えに来て、家に3人だけになったある日
夜、雷がなる
大雨で凄かった
その時、雷が鳴って停電した
走って部屋に向かう
部屋の扉を叩く
灯りを付けて、中に入る
灯りで照らして探すと、ベッドの上に布団を被って震える希がいた
近づき、布団を捲る
涙を流して小さくなる希がいる
腕を伸ばせば手を掴んでくれた
布団から出てくると、胸に飛び込んできた
頭を撫でる
泣き止むまで、頭を撫でる
灯りを持つエミさんは背中を優しくさすった
しばらくすると、おばあちゃんが心配で見に来てくれた
雷でブレーカーが落ちたらしい
ブレーカーをあげると、明るくなる
それでも、まだ外は大雨だった
おばあちゃんはまた家に帰った
ご飯を作ってくれたから、皆で食べる
作ってもらったオムライスが美味しかった
それからは保育園でも一緒に遊ぶようになった
エミさんには苦手な遊びばかりだったけど
また、楽しくなった
エミさん 5才
ゾム 3才
僕 5才
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。