__俺は昔から、“ 赤い糸 ” が見える。
まぁ、世間一般で言う “ 運命の糸 ” とでも
言えば分かりやすいだろう。
これが運命の糸と知ったのは幼少期。
糸で結ばれていたヤツらは、
不自然な程に惹かれあっていることに気づいた。
“ 運命 ”とは “ 必然 ” 。
運命の人に出会うまでに何年かかるか、個人差はある。
だが、 「 生涯を通して一度も出会わない 」
なんてことは有り得ない。
俺はまだ、自身の運命の人を知らない。
男なのか女なのか、人間なのか国の化身なのか。
なにひとつ情報なんて持ってない。
そんなことより今は自国のことだ。
不可侵条約があるとはいえ、ナチスは明らかに
俺を敵対視してるし、軍備に注力しないと。
かち、かち…
時計の音が目立つ空間、
約束の時間から逆算で
支度を進めたおかげでかなり余裕がある。
適当に暇潰しをしようと席を立った瞬間、
目の前の扉が開いた。
_____惹き込まれる、真紅の瞳。
その奥には、相手を見下している内心が透けて見える。
猫かぶりが下手だな、コイツ。
『 大日本帝国。 』
そう言うと、日帝の部下であろう者が
カメラを持って俺たちを写した。
グイッ、とコイツの腰を自分の元へ抱き寄せる。
瞬時、シャッターを切る音が耳に入った。
__その音を合図にしたように、
コイツはすぐに俺の手を退かした。
ぐだぐだ文句を垂らす声を聞き捨てて、
彼の左手に繋がる糸を、じっと見つめる。
今まで俺が出会ってきた中で__
糸が複数絡まっている奴なんて居なかった。
これは、どういう_______
先程の偉そうで淡々とした態度は何処へやら、
顔に戸惑いと心配が色濃く出ている。
コイツ、ちょっと面白いな。
中立条約を結んで、対面の回数を重ねる度、
独占欲に似たような “ 何か ” …
言い表しにくい感情が、俺を蝕んでいく。
日帝の糸は、俺と結ばれていない。
これはアメカス、大英帝国、イタリア王国、クソナチ。
…その他諸国、異様な程に繋がっている。
国の化身とこんなに絡み合っているクセに、
俺だけ仲間外れとは運命も残酷なものだ。
糸を可視化出来るようになって、
俺が独自で考えた『 定義 』。
だが、日帝は俺の『 定義 』を壊した。
『 運命は必然 』
なんて定義も、壊れるよな。
「 お前は “ 運命 ” って…信じるか? 」
すっかり闇に染まった空を眺めて、
隣に座る恋人____いや、嫁と言うべきだろう。
彼の頭をなぞるように、愛を込めて撫でる。
暗闇を照らす、光源。
日帝の手に視線を落とせば、
『 指輪と赤い糸がひとつ 』繋がっていた。
彼はもうどこかに出ることはない。
なんせ、致死量の愛に縛られているから。
……気の毒に。
他の糸を切って、自分に結びつける…
そんな狂人を恋に落としちゃったせいで。
♡ きっと、運命!
おまけソ日帝どぞ‼️ ↓
おまけ
「 “ 運命の糸 ” に気付いていた世界線の日帝 」
ここ最近、妙な事が起こる。
自分の薬指に何本も絡まっていた糸が、
徐々に減っていることだ。
まぁ前の状態が異常と言われればそうなんだが。
____そんなはずはない。
この糸は切れることもなければ、
新たに結ばれることも_______
そう言って、私の頭に肘を置く。
案の定拒否権はないだろう。
ソ連はいつもタイミングが悪いんだ。
“ 糸 ” について思考を巡らせている時にばかり、
私に声をかけてくる。
どこからか出したウォッカを片手に、
すぐ隣に腰を下ろす。
……あれ。
待て、今、
ひとつ、ふたつ、みっつ…
次々に切られていく。
もし、ソ連が……
ソ連が、赤い糸を切っていた張本人だとしたら。
糸を強引に変えるような奴だとしたら。
此奴は、
運命に、狂わされている。
おまけ、急ぎで書いたので変になりました謝罪















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。