『 貴方は太陽。
あの時からずっと、私だけの太陽。 』
数秒前まで何一つ言葉を発さず、
ただ手の内にあるウォッカを飲んでいた彼___
ロシア兄様の表情が一気に明るくなる。
またコイツ。いつもいつもいつも、
私とロシア兄様の仲を邪魔してくるヤツ。
私の方が兄様のことを理解してるのに。
私の方が長い間一緒に過ごしてるのに。
私の方が________
あぁ、お兄様。
貴方でさえも私のことを否定するんですね。
兄様に言われて仕方なく、
糸のような細い声を絞り出した。
反抗的な子供にでも見えているのか
優しく声をかける、彼の耳障りな声。
そして挨拶が済めば また家族の時間…
……なんてことはなく、すぐに会話に発展した。
談笑している2人を視界に入れる度、
酷く疎外感を感じる。
私のことを「おじゃま虫」とでも言いたいのか。
誰も彼も私から兄様を奪って。
段々と小さくなっていく兄様に寂寞を覚える。
____でも、これは良い機会。
私達の邪魔なんて 二度と出来ないように
新しい芽は潰さないと。
私から話し掛けたのが嬉しいのか、
彼の顔が少し綻ぶ。
…そういうところが癪に障る。
頭を下げ、申し訳なさそうにする彼。
……なに、この感覚。
なんだか私、
『 本当に? 』
『 私より、兄様が心から好きなコイツの方が… 』
______凄く、惨めな気がしてならない。
彼に抱く、醜い感情が止まらない。
何してるんだろう、私。
__視界が滲んで前が見えなくなってきた頃。
ふわっ、と暖かな体温に包まれた。
照れくさそうに、柔らかくはにかむ。
______あぁ、
目の前の太陽は、暖かいな。
あの、たった10分の出来事。
あれから私達の関係は良好になり、
親友と呼べるほど仲は深まった。
親友になってから知ったこと。
____彼は大のつく旅行好き。
日本は島国ということもあり、
わざわざ他国へ旅行に行く人は少ないらしいけど。
つい数時間前まで日が差して
心地よかったと言うのに。
今、空は雲で覆い隠され 風も吹き出している。
もっと厚着してくれば良かった。
そう言って彼が渡したのは上着。
私の背丈にも丁度良くて、すっぽり収まった。
普通のボアブルゾン。
特別高級なわけでもなく、奇抜な訳でもない。
ただ、私にはそれが宝物としか映らなかった。
日本は最近、アメリカと一緒に居る。
唯一の同盟国だ、傍から見たら当然ではあるのだろう。
帰るのかな。
…当たり前か、昨日残業してたんだし。
…なにあれ。
どうして兄様と日本が?
意味わかんない。
私のこと、避けるの?
私が貴方に何かした?
教えてよ。
そう呼びかけた日本の手首を強く握る。
可哀想なくらい情けない手首。
遮った。
彼の声が耳障りだから。
『 私を理解して、受け止めてくれるのは日本だけ。
今更 止めないでよ、ロシアさん。 』
静かな部屋の中、酷く怯える日本。
良かった、あのままロシアのところに行かなくて。
ベラルーシさんが問いかけに答えることはなく、
淡々と話だけが流れていく。
腹部がじわ、とあたたかくなっていく。
手首、足首、再び腹部。
理解に苦しむ熱さは、身体を蝕んだ。
貴方は太陽、間違いなかったよ!
頬に触れる。
すっかり冷えきった太陽は、二度とその熱を放たない。
またあたためて、なんて言わないよ。
雪解けなんて必要なかった、そうでしょ?
ここまで閲覧感謝です‼️















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!