アオリの出てきなさい。
と言う言葉で、周りにいた全員の人間(マスターを除く)が一斉に身構えた。
だが、みんなの予想に反して出てきたのは意外な生き物だった。
スルッと棚あたりから出てきた三毛猫猫。
それを見て皆驚愕する。
その太宰の言葉に、皆が警戒を解く。
三毛猫はリアンの足元に擦り寄り、何やら服を引っ張った。
肯定するかのような鳴き方をした三毛猫。
それを聞いて、リアンは三毛猫を抱き上げた。
中也がそう言ってライトと自分の分の支払いを済ませると、リアンは階段を登っていく。
皆はそれにぞろぞろとついていった。
向かった先は再び路地裏。
ひとりぼやく中也を華麗に無視して、リアンは三毛猫を地面に下ろした。
リアンがそう言った瞬間、三毛猫の姿が崩れる。
三毛猫の姿が崩れたかと思えば、どんどん大きくなり、骨のかけらが歪に組み合わさった化け物のような姿が現れた。
そう言って身構える中也を、太宰が制した。
そう言ったあと、再び怪物の姿が歪む。
シトリンはそう言ってぺこりとお辞儀する。
それをみていた太宰が、わなわなと震え始めた。
気にするのはそこなんですね・・・
周りにいた人たちは全員そう思ったことだろう。
一部の人はドン引きしてる。
急に表情が暗くなり俯いたシトリンに、太宰が次の言葉を発することはなかった。
左腕の裾を握る手が震えていることに気がついたからだ。
リアンがシトリンの一歩前に出る。
ようやくリアンたちの元に来たチヤが、シトリンを見つけるなりシトリンに飛びつく。
幽霊同士なら触れるのか。興味深いな。
急に乱入してきたチヤに、太宰と中也は視線を向けた。
ソナーが露骨に嫌そうな顔をする。
まぁそれもそのはず。
何せソナーは刑務所で散々チヤに話しかけられ、無視するにはうるさいので仕方なく返事をしていれば、しまいには精神疾患の疑いをかけられたのだから。
寂しそうに笑うシアンを見ていられなくなったライトは、シアンの背中をそっと撫でる。
とことん鈍感なんだなこいつ。
ここまで行くと驚きを通り越してもはや呆れるよ。
シアンが動いたかと思うと、ソナーの腕を引っ張ってチヤから引き離した。
チヤはシアンから目を逸らすと、ふよふよと移動してシアンの隣に行く。
ゴッ
バキッ・・・!
アオリの拳がコカゲの顔を正確に捉え、コカゲの顔面にめり込んだ。
そのままアオリはどこかへ走り去って行ってしまった。
いや、分では治らないだろう。
と、中也と太宰の心の声が一致した。
太宰はそう言ってパンと手を叩いた。
ぴったりのタイミングで、少年の声が聞こえた。
声の方を向くと、少し独特の髪型をした白髪の青年が立っていた。
敦はこちらに気づいたようで、不思議そうに首を傾げた。
魔法と聞いてあまり驚かないところを見るに、おそらく彼も異能力者なのだろう。
私はここからどうするべきかと頭を捻った。
クロムが一歩前に出て敦に自己紹介をする。
ちゃっかりソナーを抜いてるあたりよほど恨みがあるのだろう。
半ば強引に腕を引っ張られ、コカゲは素直についていった。
それをみて他の兄弟たちもゾロゾロとついていく。
もちろん犬太郎も。
数分歩いてついたのは、とあるビルの一角だった。
敦は扉を開けると、診察室に呼びかけた。
奥から白衣を着た女性がニヤニヤと笑いながら出てくる。
こいつもしかして、患者を治療するのが楽しいとか趣味とか、そういうイカれたやつじゃ無いだろうな。
与謝野先生はコカゲの手を引いて診察室の奥に入っていた。
その直後、ギュイィィィンというチェーンソーの音が聞こえてくる。
一定何が起こっているのだろうかと思いながら待っていると音が止み、心なしかツヤツヤになっているコカゲが出てきた。
ニコニコと笑い機嫌の良さそうな与謝野先生を見て、敦はほっと胸を撫で下ろした。
それを見るに、おそらく先ほどまで与謝野とやらは機嫌が悪かったんだろう。
そして機嫌を直すために怪我をしているコカゲを生贄に捧げたと言ったところか?
気弱そうな顔して随分とザンコクなことするじゃないか。
コカゲの口からサラッと告げられた爆弾発言に、流石の太宰も石のように固まる。
普段おちゃらけているシアンがツッコミに回るとは、こりゃ随分大変らしい。
まぁこいつらまとめるのを手伝う気は無いけど。
シトリンが少し申し訳なさそうに手を上げた。
それを聞いて与謝野は顎に手を当てて少し考えこむ。
ライトたちはお礼をして探偵社を出て行った。
階段を降りて下に行くと、中也が入口で待っていた。
ここぞとばかりに今まで黙っていたアサが喋り出す。
いやこいつカコ好きすぎだろ。
そんな会話をしていた時、敦のお腹がなった。
そう言って太宰はコートのポケットをひっくり返して見せる。
突然後ろに現れたアオリにそこにいる全員が驚く。
クレアは額を抑えて小さくつぶやいた。
おおかた情報を売って金を手に入れたんだろうが、今までの一瞬で情報屋を開けるのもそれはそれですごいな。
全員で近くの銀行まで歩いていく。
アオリは私たちに念入りに釘を刺すと、銀行の中に入っていく。
私はこっそりついていく。
まあ霊体だから多分バレることもないんだが。
アオリがATMを操作して口座から10万ほどお金を引き出す。
ついでに口座にいくら振り込まれているのか見る。
・・・・
うっわまじかよ。コイツキモ。
アオリがライトたちと合流し、歩き出す。
その後ろから待機組がゾロゾロとついていく。
驚きのあまりライトがつい口を滑らす。
このバカが口に出しやがったせいで周りの目が一気にライトに集まる。
アオリが額を抑えてうめいた。
いや私のせいじゃないんだが?
責めるんなら口に出したライトを責めろ。
心なしかイライラしながらアオリが答える。
先ほどまでアオリの持っている地図を見ていたチヤが、右側を指差す。
指の先には確かに茶漬け専門店と書かれた店が建っていた。
アオリはそれだけ言って地図をしまうと、店の扉を開けた。
中はかなり広く、内装は和をモチーフにしていて落ち着く雰囲気になっている。
全員が席に座ると、敦、ライト、ユウム、ビャクヤが早速注文した。
お前辛いの大丈夫だっけ。
そういえばこういつ雑炊好きだったな。
1時間ほどたって、みんなが料理を食べ終わった頃、敦の目の前には中身のなくなったお椀が大量に積み重ねられていた。
流石に何回もおかわりしすぎだろ。
アオリはサラッと返す。
店員さんが近くを通りかかったタイミングでクレアが声をかけた。
そう言ってアオリは財布から6万取り出すと店員さんに手渡した。
席を立って全員店から出ていく。
ヤエが手を頭の後ろに組んで歩きながらぼやいた。
喧嘩がヒートアップし戦闘になりそうになった瞬間、スパーン!
といい音が響いた。
シアンがハリセンで二人の頭をたハリセンで二人の頭を叩いたようだ。
確かにヤエとサツキの頭には痛々しいタンコブができていた。
本当にハリセンとは思えない威力だ。
サツキも声には出さないものの、頭を抑えて悶えている。
ヤエは頬を膨らませてそっぽをむいた。
子供かよ。
はい。
3話を更新するのが大変遅くなってしまって申し訳ありません。
少々スランプになってしまっていまして。
あと小ネタなのですが、ナレーションとシャドーの心の声はおなじ書き方をしています。
基本的にシャドー視点なので。
あとシャドーが本来漢字やひらがなの単語をカタカナで表している場合、シャドーが皮肉で言っている、もしくはどうでもよく思っていてバカにしている時などです。



































編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。