ふわりと花の香りがする
優しい風とどこか懐かしい布団の匂い
重たいまぶたを少しずつ開くと、白い天井が見えた
すぐ側にいた無一郎が立ち上がって私の顔を覗き込む
ほっとして少しだけ表情が緩んでいる
数分もせずに、軽い足取りとともに扉が開く
柔らかく微笑んだしのぶさんが、そっと私の脈を取る
蝶の髪飾りが揺れている
くすっと微笑むしのぶの横から無一郎が無言で戻ってきた
無一郎は何を言わないけど、どこか照れくさそうに目をそらす
扉が閉まり、部屋に再び静けさが戻る
窓の外から風鈴音が優しく響いた
その言葉に私は黙って頷いた
火照りは引いても、心の奥の温かさはしばらく
消えそうになかった
…END
短くてすみません
スポラお願いします












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!