第6話

006¦蝶屋敷 夕方の静かな一室
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2025/08/05 06:52 更新
ふわりと花の香りがする

優しい風とどこか懐かしい布団の匂い

重たいまぶたを少しずつ開くと、白い天井が見えた
あなた
…ここ…蝶屋敷、?
時透無一郎
起きた…?
すぐ側にいた無一郎が立ち上がって私の顔を覗き込む

ほっとして少しだけ表情が緩んでいる
時透無一郎
しのぶさん呼んでくるね、すぐ戻る



数分もせずに、軽い足取りとともに扉が開く
胡蝶 しのぶ
ふふ、やっとお目覚めですね
柔らかく微笑んだしのぶさんが、そっと私の脈を取る

蝶の髪飾りが揺れている
胡蝶 しのぶ
熱をかなり引いています
反応も落ち着いてるし、もう大丈夫そうですかね





胡蝶 しのぶ
彼とても焦っていましたよ
胡蝶 しのぶ
珍しく‪”‬大きな声‪”‬で私を呼んでましたから
くすっと微笑むしのぶの横から無一郎が無言で戻ってきた
時透無一郎
…そんなに大声だったかな
胡蝶 しのぶ
ふふ、無一郎さんにしては、の話です
妹さんの事本当に大事にしてるんですね
無一郎は何を言わないけど、どこか照れくさそうに目をそらす
胡蝶 しのぶ
今回の血鬼術は接触型の一種で神経に作用して
過敏な反応を起こすものでした…つまり
時透無一郎
鬼の最後の足掻きってやつだね
胡蝶 しのぶ
そう、よくあることではありますけど精神的な負担が大きい術です
しばらく安静にしてくださいね
胡蝶 しのぶ
そばにいるおにぃちゃんがきっと一番の薬でしょう?
…無理させないでくださいね
時透無一郎
……わかってる
扉が閉まり、部屋に再び静けさが戻る

窓の外から風鈴音が優しく響いた
あなた
ありがとう
時透無一郎
また何かあったらすぐ呼んで、もう1人にはさせない
その言葉に私は黙って頷いた

火照りは引いても、心の奥の温かさはしばらく
消えそうになかった









   …END
短くてすみません

スポラお願いします

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