第55話

40話
464
2025/03/25 15:16 更新
いつだったかな

何かから逃げるこの感覚…覚えがある










どうして私は造られたのか…





















なんでこんな感情を持っているのか



















分かってる

分かっているのに…それなのに…










気持ちが分かってくれない

















私は666人目の「ワタシ」



















あの時彼を殺したのはワタシ




















私じゃないのにワタシなのだ




これは凄く複雑で、理解しようとしても頭が混乱して、上手く紐解けないこと





私じゃなくても、他人事として捉えることが出来ないことなのだ

だって、彼を殺したワタシは私と全く同じ顔で、全く同じ声で、全く同じDNA

お父さんは死んだ


ゴミ拾いをしたあの日、見たことない男の人に言われて初めて知った



それが本当である確証は無い

でも、嘘であるという証明にはならない


1番憎くて1番嫌いな存在
恨んでいる
生きていて欲しくない


それでも


もし本当に死んでいるならば状況は最悪だ


この心臓に埋め込まれたメタルについて1番詳しいのはお父さんだから

それが何を意味するのか





なんでわかってしまうんだろう



















(なまえ)
あなた
あ、雨…







建物の間に入り、僅かな雨避けの下に座る
痣を隠すために着た長袖を捲れば、目も当てられないくらい汚くなった皮膚が顔を出す

スカートの隙間から見える膝うえは、腕と同じ鈍色の痣がある


左腕の感覚はほぼ無い
心臓から広がった痣が全身に回るのはもう長い時間も要さない




雨が冷たいのか分からない

それくらい、私の体はもう手遅れなのだ
燕夏準
燕夏準
おや?こんな雨なのに傘もささずに何してるんです?
(なまえ)
あなた
え…誰





















燕夏準
燕夏準
好きなものを頼んでいただいて構いませんよ
(なまえ)
あなた
燕夏準
燕夏準
そんな顰め面しないでください
別にいいでしょう
少し話をするくらいです
変な人

なんで話なんて…








あの時、上手く言いくるめられて私はこの人とカフェに入って話をすることになってしまった
燕夏準
燕夏準
首の痣、メタルによるものでしょう
(なまえ)
あなた
え…
咄嗟に首に触れる
触れれば感覚がある部分と無い部分がある

見えるとこにまで広がったのか…
燕夏準
燕夏準
何故そんなになるまで使用したんです?
(なまえ)
あなた
…使用したんじゃない
燕夏準
燕夏準
…なら、なんだと言うんですか?
言ってもいいか
この人とはこれきりだろうし
(なまえ)
あなた
心臓に埋められてる
燕夏準
燕夏準
は?
(なまえ)
あなた
…私は本物の人間じゃない
燕夏準
燕夏準
(なまえ)
あなた
嘘だと思ってていいよ
燕夏準
燕夏準
いえ、そんなことも無いですよ
さしずめ、アルタートリガー関連でしょう
(なまえ)
あなた
なんだ、知ってるの
驚いた

まぁ、アルタートリガーに直接的に関係してたわけじゃなくて、独立していた父親が支援を受けて実験していたのだけど
燕夏準
燕夏準
数年前、アルタートリガー社は倒産しましたよね
色々まずいことがバレてしまって…ParadoxLiveの参加者に、と言った方がいいでしょうか
(なまえ)
あなた
そこまでは知らなかった
ParadoxLive…どこかで聞いたことあると思ったら、アルタートリガー社が関わっていたのか
燕夏準
燕夏準
死ぬんですか?
(なまえ)
あなた
うん
燕夏準
燕夏準
怖くないんですね
(なまえ)
あなた
怖いよ
燕夏準
燕夏準
そうは見えません
(なまえ)
あなた
私、クローンなんだよ
心臓にメタルを埋め込む実験のためだけに造られた
燕夏準
燕夏準
…幻影が存在しますし、信じ難いですが嘘とも言いきれないですね
(なまえ)
あなた
私は他にも何人も存在する
失敗作は消された者もいるけど、消されず残っている者も何人かいた
今は分からないけど
燕夏準
燕夏準
あなたが唯一の成功作だということですか
(なまえ)
あなた
嫌味な言い方だね
燕夏準
燕夏準
よく言われます
初めこそ少し驚いていたが、今は絵に描いたような笑顔だ

この人は何考えてるか分からないな
燕夏準
燕夏準
あなた、今までどこにいたんです?
1人では生きていけそうに見えませんが
(なまえ)
あなた
本当に失礼だ
…プレハブにいた
獄Luckって言ったら分かる?
燕夏準
燕夏準
おや、警察官と囚人のチームですか
分かりますが何故あなたがそんなとこに?
(なまえ)
あなた
投獄された
一時的にプレハブにいただけ
燕夏準
燕夏準
!あなた、捕まってたんですか?
こんなとこにいてはまずいのでは?
直ぐに戻らなければ問題になります
(なまえ)
あなた
うん
分かってる
いや、分かっていなかった
目の前のことで周りが見えていなかった
みんなのことも考えず飛び出した私が悪い
燕夏準
燕夏準
そうですか
なら…近くまで送ります
(なまえ)
あなた
燕夏準
燕夏準
戻るのが嫌ですか?
(なまえ)
あなた
…ううん、十分逃げた
もういいよ
燕夏準
燕夏準
そうですか
では、行きましょうか
私も向き合わなきゃいけない


自分とも

みんなとも




もう残された時間は僅か
このまま痣が広がれば明日生きてるかも分からない

言うんだ全部
(なまえ)
あなた
ありがとう、おかげで決心が着いた
あなたの名前を教えてよ
燕夏準
燕夏準
…燕 夏準です
もう二度と会うことは無いでしょうけど
(なまえ)
あなた
最後の最後まで嫌な人
夏準はこちらを見ると先程と変わらぬ笑顔を見せた

































燕夏準
燕夏準
この会場であっていますか?
さすがに現地までは送れないので近場に停めますが
(なまえ)
あなた
うん
会場の近くの駐車場に車が止まる
(なまえ)
あなた
あ、そういえばなんでメタルの侵食知ってたの?
燕夏準
燕夏準
…僕もそうでした
まぁ、僕の場合は使いすぎによるものですが
(なまえ)
あなた
…そう
生きてたんだ
燕夏準
燕夏準
運がいいことに、仲間がいたので
あなたも大切な方がいるのなら、早く行った方がいいですよ
(なまえ)
あなた
…そうだね
失った

1番大切で1番大好きな彼


でも今はみんながいる







私は痛む心臓を押えながらみんなの所へ走った
読んでいただきありがとうございます!

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