だんだんみんなの声が近くなる
私を呼ぶ声
私の名前を…
なんで素直になれなかったんだろう
手を差し伸べてくれてたのに
声をかけてくれてたのに
気にかけてくれてたのに
なんで
あぁ、なんで今そんなことを思ってしまうんだ
決心した
言うって決めた
もう迷わない
それなのに何をそんなに怖がっているんだ
会場の外に出てきた賢太と鉢合わせた
私、今どんな顔してたっけ
普通にできてた?
いつも通り?
怖い
言えな…
今まで以上の勢いに気圧される
だが、すぐ痣に気づいたようだった
言え
言うんだよ
なんで言えないの?
口にしたいのに
言いたいのに
怖い
見放されるのが
1人になるのが
こんなにも怖い
こんなに泣くことが簡単だなんて
自分の意思とは真逆に
止まれと思う涙は溢れる
目頭が熱くなって
喋りずらい
そっか
そういえば涙って温かかった
もっと
もっと早く言えば助けてくれたのか
犬飼は私の目の前まで来ると膝をついた
私と目が合うように
犬飼の心配そうな眼差しは強いものへ変わっていた
…何を怖がってたんだろう
どうして信じられなかったんだろう
今までだってなんだかんだ、この人たちは私を見捨てなかった
私の足枷となっていた何かが外れた気がした
そう思った瞬間
視界が暗くなった
いつだってそうだ
上手くいくことなんてない
私は上手く生きられない
みんなの声が遠のく
深い深い闇の底に意識が落ちていった
読んでいただきありがとうございます!


















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。