ピ…ピ…ピ…
と、規則正しい機械音が聞こえる
一定のリズムを刻み、何故か心地良さを感じる
なんだろう
この音は自分にすごく合う
トク…トク…トク…
と、一定のリズムで脈打つ自分の心音と同じだと、理解するまでに時間がかかった
生きている
目を開けると視界がぼやけて上手く見えない
光を僅かに感じとれる程度だ
犬飼の声が聞こえる
そうか、私は気を失ったのか
突然震える声で聞かれて上手く誤魔化すことが出来ない
いや、もう誤魔化す必要なんてないのか
私は痣が何なのか、一から説明した
みんな、メタルの侵食については知っていたようだが、実験まではピンと来ていない様子だった
父親がメタルの実験を行っていた科学者だったこと
私は被検体だったこと
心臓にメタルが埋め込まれていること
「ワタシ」の存在
そして、本物じゃないこと
彼を
殺したこと
きっともう長くないこと
全部話した
なんだ
こんな簡単なことだったなんて
でも、すごく勇気がいることだったなんて
知らなかった
そういえば、あの日私を見つけた警察官は犬飼だったのか…
忘れてたな、そんなこと
もう視界もほとんど見えていないのに
希望を持てって方が無理な話だ
今会話出来てること自体、奇跡に等しい
私の今の姿
きっとすごく汚いんだろう
みんなが部屋から出ていく音がする
疲れた
眠い
ただただ眠い
少しだけ眠ろう
ガタガタとあなたの部屋から音がする
不審に思った犬飼は部屋を見に行った
止めようとした犬飼も賢太の一言を聞いて、少しだけそれにかけたいと思った
部屋の外で2人の様子を見ていた紫音は話し始めた
紫音は自分がされてきたことと重ね合わせ怒りを覚えた
賢太が何かを見つけたようだ
このノートに賢太は覚えがあった
あなたが隠していたものだ
きっと見られたくないだろう
だが
ここになにか手がかりがあるかもしれない
意を決してノートを開いた


















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。