第58話

43話
381
2025/05/04 13:24 更新
日記
‪✕‬月‪✕‬日

これはパパがくれたノート。きょうからこれに、いろいろなことをかく。うれしかったこと。かなしかったこと。おもいでも。いつでもみかえすことができるようにね。
1ページ目は、小さな子が書く内容そのもの

おかしなとこなんて1つもない
日記
‪✕‬月‪✕‬日

きょうはメタルのじっけんをした。はじめてつかった。なんかすごい。うまくことばにできないけど、ぶわーって広がるかんじ。
日記
‪✕‬月‪✕‬日

今日はちゅうしゃをした。いたかった。これをするといいことがあるってパパは言ってた。
うでがいたいから、今日はここまで。
徐々に漢字が増えていく

きっと、実験に対する不信感もこの頃から徐々に芽生えていっただろう

日記
‪✕‬月‪✕‬日

今日はしせつに来て3日目。知らない子がいっぱいいた。色んな子がいる。力がすごい子、目がすごくいい子、体がすごく柔らかい子、記憶力がすごくいい子。あと、変な子。あの子は、むずかしい。何がすごいのか上手くことばに出来ない。
日記
‪✕‬月‪✕‬日

明日は大きな手術をする。「あなたは特別だからだいじょうぶ」そう言われた。こわいけど、パパがよろこぶ。
だから今日は、サプリの量が多いのかな。
そしてしばらくノートは白紙のままだ

おそらく、手術をして日記が書けなかったのだろう
日記
‪✕‬月‪✕‬日

心ぞうにメタルを入れたらしい。成功したんだって、パパすごいよろこんでた。
本当にだいじょうぶなのかな。さいきん、ねてるとこわい夢をみる。
これが、実験施設での最後の日記だ

御子柴賢太
御子柴賢太
賢太は無言でノートを閉じた
犬飼憂人
犬飼憂人
御子柴賢太
御子柴賢太
犬飼、ここに電話しろ
犬飼憂人
犬飼憂人
御子柴賢太
御子柴賢太
分かんだろ
もうここしかねぇ
甲斐田紫音
甲斐田紫音
犬飼憂人
犬飼憂人
上に…聞いてきます
その言葉に賢太は苛立つ

「上に聞く」

まるであなたの命が上に握られているみたいだ

だがそうしなくては無理なことも理解している

































彼
言えたんだね
(なまえ)
あなた
うん
見覚えのある彼が、私の横に座っていた
(なまえ)
あなた
でも、もっと早く言えばよかった
彼
そうだね、でも…良かった
(なまえ)
あなた
…まだ間に合う?
彼
それはあなた、君次第だよ




(なまえ)
あなた
ごめんね
彼
…謝らないでよ
あなたのせいじゃない
(なまえ)
あなた
私のせいだよ
私と一緒にいたから…
彼
僕が君といたかったから
君をあそこから連れ出したのは僕だ
ねぇ

教えてほしい




どうしてワタシはあなたを殺したの?




なんで私じゃなかったの?






彼
…知らなくていいよ
いや、知らない方がいいんだ
(なまえ)
あなた
彼
いいかい?
メタルが心臓にある今、メタルの侵食から逃れることはできない
(なまえ)
あなた
彼
必ずみんなが君を助けてくれる
ごめんね
僕はこれ以上何も出来ない
そんな事言わないで



あなたのおかげで私はあの白い壁の外へ出られた



知らない世界を知れた



楽しかった





生きていたいって思えた








みんなに出逢えた













再び意識は暗闇へと引きずり込まれる
まだここにいたいのに

彼といたいのに



彼
頑張って、姉さん
読んで頂きありがとうございます!

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