~前回のあらすじ~
赤ちゃんゾンビを殺したくなかったナナの意見を尊重し、僕達はもう何もせず外に出ることにした。
赤ちゃんの側を離れた途端、赤ちゃんは大声で泣き出す。突然のことに混乱するナナ。
ふと後ろを見ると、残りの家族がこちらに襲いかかってきた。床に散乱した家具を避けつつ、なんとか玄関に辿り着く。
だが、棚で塞がれていてもう逃げることは出来ず、追い詰められてしまった。
仕方なく、彼らに銃口を向け、引き金を引く。
その後、最初からこうしていれば良かったのではないかとナナに言ったが、そうしなかったのはナナの「一人の人として接したい」というエゴのためだった。
外にわんさかいるゾンビのことは、虫を駆除するように倒すくせに───
ノカの言葉を合図に、ボクは玄関を塞ぐ棚をどかし、玄関ドアのドアノブに手をのせた。
ドアの隙間から光が入ってくる。外の明るさに一瞬目をやられる。ゾンビの音はしない。まだ平気だ。
路上に出、後ろを向き、改めて家を見る。
白一色の2階建て。だが、ところどころ塗装が剥げていた。左上の屋根が崩れ、家の窓ガラスには拳ほどの大きさの穴が開いている。
この家で静かに暮らしていた家族を、ボクがこの手で───
白い家の持ち主達にお礼を告げ、家を後にした。
太陽は真ん中近くまで上がっていた。ほどよい量の薄灰色の雲が淡い青空に散らばっている。風は吹いていない。…ゾンビが倒しやすい天気だ。
こっちにゾンビがよたよたと歩いてきた。すぐさまバンッと手にしていた銃で撃ち抜く。歩くタイプで良かったとナナは少しホッとした。そして、
何か違和感を覚えた。
あいつ──それは走るタイプのゾンビ。謎に足が速く、いつも同じタイプを2、3体プラスたくさんの歩くタイプを引き連れてやってくる。といっても、逃げ切れる速さで追い掛けてくるので少し安心だ。ただ、数で攻めてくるので面倒くさい。
バックパックが左右に揺れる。
やっぱり重い。速く拠点に帰って降ろしたい!!
ナナはそう思いながら走る。だが、体はあまり疲れていなかった。4年間背負い続けたため、常に負荷がかかる状態に適応したからだ。そして走りまくるサバイバル環境が、体力を勝手に鍛え、増やしていたのである。
一瞬立ち止まってバッと後ろに振り向く。
すぐ先にゾンビの集団が見えた。
ひたすらに走っていると商店街が見えてきた。
すぐそこまで来ていた。
すぐさま銃口を上げ、ゾンビを片っ端から倒していく。
バンッ バンッ
撃っても撃ってもゾンビは一行に減らなかった。
バンッ バンッ カチッ
カチカチ カチカチ
不幸に最悪が重なった。ナナは走りながらノカに報告する。…半泣きで。
ナナは目標の車に向かって全力ダッシュした。ダッシュの勢いを利用してボンネットに飛び乗り、その勢いのまま車の屋根に登った。
ナナはバックパックの左側ポケットから瓶を取り出した。
瓶の中にはトロッとした透明な液体が入っており、その上には小さな新聞紙がくしゃっと液体に触れるように刺さっている。
続いてフィッシングベストの胸の右ポケットからライターを取り出し、火を灯した。
ゾンビの群れの先頭が20m近くになったその時、ナナは瓶に刺さった新聞紙に火を着け、ゾンビの群れ目がけて投げた。
瓶はきれいな放物線を描いてゾンビの群れの中に落ちていく。
ボウッ
瓶が投げ入れられたところから火がものすごい速さ広がっていった。ギャ″ー″ー″と喚きながらゾンビが燃えていく。
そう、ナナがゾンビの群れに向かって投げたのは、「火炎瓶」であった。







![[ 大型参加型 ] # 天空の賽子に全てを任せ 。](https://novel-img-gcs.prepics-cdn.com/prcmnovel-tokyo-prod-converted-images/p/OdQY9PRCapcR2Vu3TgUF1zkHQ8k1/cover/01KZ8EZKDN00GBAXG82H0MX4N7_resized_240x340.jpg)




編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。