春になると、隣の庭の桜が満開になる。
私と同い年の男の子の家。
小さい頃から家族ぐるみの中で、いつも一緒だった。
幼稚園
「アンシナ泥つけないでよー!!」
「うわ、ごめん!!」
小学校
「あなた待ってって!」
「無理だよ~ん、早く来てってば!」
中学校
「勉強無理すぎる」
「それな、まあアンシナよりかは得意だけど?」
「はあ?笑」
毎日のように小競り合いして、笑って、泣いて、
たまに本気でケンカもして。
でも結局、一緒にアイスを食べて、家に帰るのはいつも同じ。
気づけばいつも隣にいた。
家族ぐるみで、幼なじみの距離が当たり前だった。
「……あの頃から、ずっと一緒なんだなぁ」
そんな思い出が、ふわっと頭をよぎる。
隣の窓から声が飛ぶ。やべと思いつつ、私はリボンを直す。
家を出ると、玄関前にアンシナが立っていた。相変わらずゲームしながら待ってる。
顔を合わせればいつも言い合いをしている。
なぜか、アンシナの前では素直になれない。
でもこの“当たり前”が、ちょっと心地よく思うのは内緒。
そういえば、アンシナの制服姿直で見るの初めてだ。
アンシナは私に向かって手を合わせながら
なぜか私を見てにやにやしている。
これは絶対聞こえてたな。嫌なやつ。
そうやって、無意識に褒めてくる。
それはどう思って言ってるの?
幼なじみとして?女の子として?
2人で笑い合う。
そうこうしてるうちに学校に着いた。
私たち高校は歩いて15分くらいの場所にある。
だからのんびり歩いて登下校するのが憧れ。
せーので学校の門をくぐると、満開の桜と少しまだ冷たい春の風が、私たちを「ようこそ。」と迎え入れてくれているかのような気がした。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。