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第33話

彰人が可愛すぎる件(ビビバスver.)
429
2025/07/20 11:52 更新
MEIKO
MEIKO
──あら、冬弥くんいらっしゃい
いつもの軽快な音を軽く聞き流し鼻歌を口ずさみながら食器を洗っているメイコさんの方に歩を進める。
青柳冬弥
青柳冬弥
はい。……あの、奥のスペースを借りてもいいでしょうか
そう尋ねるとメイコさんは少し目を見開いて驚きの表情を浮かべた。
流石に唐突だったな……。
MEIKO
MEIKO
構わないわ、ここはみんなのセカイだから好きなように過ごしてちょうだい
青柳冬弥
青柳冬弥
ありがとうございます
MEIKO
MEIKO
そうだ、注文を伺ってもいいかしら
青柳冬弥
青柳冬弥
それなら、俺はいつもので
MEIKO
MEIKO
分かったわ、後で持っていくわね
青柳冬弥
青柳冬弥
はい、ありがとうございます
カウンターの奥に姿を消したメイコさんを見届けてから俺は奥のスペースに腰を下ろした。
BGMが静かに響いているのを無心で聞き流す。
暫くして、いつもの芳しい香りが鼻腔をくすぐった。
──刹那。

チリンと、軽快な鈴の音が再び鼓膜を揺らした。
白石杏
白石杏
こんにちは〜!!
小豆沢こはね
小豆沢こはね
こんにちは
静寂を打ち消すような明るい声が店中に響く。
MEIKO
MEIKO
いらっしゃい
白石杏
白石杏
あれ、冬弥もう来てたんだ
青柳冬弥
青柳冬弥
ああ、俺もつい先程来たばかりだ
他愛のないキャッチボールをしながら二人は俺の隣に腰を下ろした。
MEIKO
MEIKO
注文は何かあるかしら
白石杏
白石杏
じゃあ私はブレンドティーでお願いします!
小豆沢こはね
小豆沢こはね
私は、今日はキャラメルホイップマシマシチョコレートソース生クリーム添えフルーツ盛をお願いします
中々個性的な注文にメイコさんは大人びた笑みを浮かべながら軽く頷き再びカウンターの奥に姿を消した。
白石杏
白石杏
よーし、じゃあ……彰人を褒め称えよう第四回目!かいさーい!
白石の元気溌剌な声が店内に響き渡ると同時に俺たちは近頃あった彰人の情報を各々口にする。
青柳冬弥
青柳冬弥
まずは最近の彰人の衣装がおかしいと思う
小豆沢こはね
小豆沢こはね
わかるよ
白石杏
白石杏
わかる!
二人の共感の眼差しを受けて背中を押された俺はさらに捲し立てる。
青柳冬弥
青柳冬弥
ああ、特に肩出しが多いような気がする……。あれは俺も目の毒だから控えてほしい
白石杏
白石杏
そうそう!あいつ、なんの恥じらいもなしにライブに出るんだから!
小豆沢こはね
小豆沢こはね
杏ちゃんも肩出ししてるよ……
白石杏
白石杏
私はいいの!
謎の理論で自身を免除し彰人の肩出しについて言及をする。
小豆沢こはね
小豆沢こはね
でも、確かに控えてほしいよね……変な人に目を付けられないか心配だな
白石杏
白石杏
もしそんなやついたら私がぶっ潰してやる
青柳冬弥
青柳冬弥
白石、彰人の口調が移っているぞ
軽く指摘すると白石は意地悪く口角を上げて言葉を重ねる。
白石杏
白石杏
ま、あいつ最近丸くなってるし、たまにはいいじゃん?
その言葉に俺は苦笑いを浮かべる。
白石の言葉は否定できなかった。
以前に比べて荒々しい言葉を使っている彰人を見かける頻度は目に見えて減っていたからだ。
小豆沢こはね
小豆沢こはね
最近はあまり耳にしないもんね
青柳冬弥
青柳冬弥
やはり、RAD WEEKENDを超えたのが彰人にとってはかなりの出来事だっただろうな
白石杏
白石杏
むしろ私たちに結構心開いてるよね!?やっぱ野良猫も懐くもんだね
白石は彰人のことをなんだと思っているんだ。
内心そう呟きながら彰人と野良猫の共通点を探ってみる。
……案外、似てるのかもしれないな。
小豆沢こはね
小豆沢こはね
最初なんて私警戒されてばっかりだったし……
白石杏
白石杏
あー、私もなんでこんな初心者と~って目線グサグサ刺さってた……
青柳冬弥
青柳冬弥
あれは彰人も少しやり過ぎだと思うが……彰人なりに思うことがあったんだろうな
「俺は殴られてしまったし」と付け加えれば今度は二人が苦笑いを浮かべた。
白石杏
白石杏
あんたたちは会話しなさすぎ!もうちょい意見伝えたらいいのにさ〜
青柳冬弥
青柳冬弥
ああ、俺も反省している。あのときは彰人を非常に傷つけてしまったからな……もう二度とあんな顔はさせない
過去の懺悔の言葉を語っていると、品物を手に持ってメイコさんが俺たちの目の前に置いてくれる。
小豆沢こはね
小豆沢こはね
ありがとうございます……!
白石杏
白石杏
ありがとうございます!
MEIKO
MEIKO
ふふ、いいのよ。それにしても随分と盛り上がっているみたいね?
青柳冬弥
青柳冬弥
はい……もしよければメイコさんが見た彰人のエピソード、何かありませんか?
おずおずと尋ねるとメイコさんは顎に手を当てて少し考える仕草を取る。
MEIKO
MEIKO
……そうね、最近なら……この前、とても楽しそうに以前見た世界規模のイベントの感想を言っていたわよ
白石杏
白石杏
ああ〜、父さんたちが出たやつね
MEIKO
MEIKO
ええ、あんなに生き生きと話している彰人くんを見る機会は滅多にないからついサービスしちゃったわ
そうこぼすメイコさんは心の底から楽しそうで俺もついその場面を思い浮かべてみる。
あのあと、ライブ会場から出るときも彰人は未だ興奮冷めやらぬという雰囲気でいつもより声がワントーン上がっていた記憶があった。
余程いい刺激になったんだろうな。
白石杏
白石杏
ホント、彰人って父さんのこと好きだよね〜
青柳冬弥
青柳冬弥
彰人にとって謙さんは尊敬と目標ど真ん中だろうからな。むしろ、当然のことだと思う
白石杏
白石杏
あはは!まあそうだけどさ〜、いっつもツンケンしてるあいつが父さんの前でニッコニコなの面白いんだよね〜
揶揄うように口角を上げてそう言う。
昔から見てきた俺がそれは一番知っている。
彰人がどれほど謙さんを尊敬し憧れてきたか。
しかし、それとこれとは話が違う。
青柳冬弥
青柳冬弥
……羨ましいな
ふと、そうこぼしてしまった。
彰人からあのキラキラとした純粋な眼差しを向けられることが、非常に羨ましくて、嫉妬してしまう。
小豆沢こはね
小豆沢こはね
……そうだね、私も……そう思うかな
徐にだがどこか芯のある声が俺を肯定する。
正直、肯定されるとは思わなかった。
つい小豆沢の方に視線を向けると綺麗な双眸が俺を捉えていた。
その瞳の奥底には、計り知れないほどメラメラと炎が燃え上がっているように感じた。
小豆沢こはね
小豆沢こはね
私は、東雲くんと会うのが一番遅かった。けど、それでも思っちゃうの、私も……あの視線を向けられたいって
白石杏
白石杏
うん、私も同じ気持ち……あいつが父さんを尊敬してるのは分かってる。でも、私たちの仲間なんだからあの笑顔を私たちに向けてもいいと思うんだよね
言いたいことを言い切ったのか、それぞれ頼んだ飲み物を口に運ぶ。
それは、間違いなく嫉妬心だった。
青柳冬弥
青柳冬弥
……これは、到底本人には伝えられないな
自虐的な笑みを浮かべながらポツリと呟くと、二人は揃って眉を下げる。
なんとも言えない空気が俺たちを包み込んだ。
小豆沢こはね
小豆沢こはね
……ちょっと話が逸れちゃったね。他にも可愛いところあるかな?
寄り道してしまったのを強引に引き戻し最初の話題に戻る。
「照れている顔」、「何かに夢中になっている真剣な表情」、「素直じゃない」、「勉強をしているときの嫌そうな顔」。
半ばヤケクソのようにポンポンと口にする。
しばらく経ち口の中が乾き始めて俺たちは一次休戦に入る。
白石杏
白石杏
はぁ〜、言った言った。たまにはやっぱありだねこういうの
背もたれに寄りかかりぼんやりと天井を眺める。
ただ口を動かしただけなのに妙な疲労感があった。
小豆沢こはね
小豆沢こはね
楽しかったね、またやりたいな
青柳冬弥
青柳冬弥
次は……五回目になるな
白石杏
白石杏
もうそんな?彰人も罪なやつだね〜
ゆったりとした時間を俺たちは満喫する。
今ここにいない人物を長々と話し続けて、俺たちは充実した一日を送った。
俺の相棒は、かっこよくて、そして可愛い。
そんな人物に三人は見事虜になってしまったみたいだ。














彰人が可愛すぎる件
こんにちは、8です
「彰人くんが可愛すぎる件」をここまで読んでくださりありがとうございます!
なんと、書きたいように書いた結果気がつけばこれで32話です、三日坊主の自分がまさかここまで書き続けられるとはびっくり
そして一周したはずなので今回は久しぶりのアンケートです

アンケート

彰人くんが可愛すぎる件、もう満足した?
まだまだ物足りない!
95%
もうお腹いっぱい…
5%
投票数: 167票
もうお腹いっぱい…の方が投票数多いようでしたらこの作品はこれで完結とさせていただきます
もし続く場合は何がいいんですかね、また同じように一周するか、それとも新しい組み合わせとか…?
まあ、それは追々考えます
それでは、ここまで読んでくれた皆様方、本当にありがとうございました!m(_ _)m

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