その日の夜。主は何となく3階を散歩していた。すると、バルコニーでひとり佇むルカスの姿を見つけた。
そのルカスは、何となく雰囲気が違った。昨日会ったルカスはふんわりとしていて、優しそうな雰囲気だった。そばに置いてあるテーブルにはワインボトルとグラスが置いてあり、彼がお酒を飲んでいることが分かった。
最初に出会った時のふわりとした笑顔ではなく、鋭い目つきで問う。ルカスという執事は、思ったより切れ長の瞳で、端正な顔だなと主は思った。
ルカスは考え込んだ。主の曇りのない眼を見据え、今までの執事を救った数々の話を思い返す。
疑うことを知らない、純粋な瞳。その気になれば、この人を毒殺することだってできる。毒じゃなくても、これほど細ければ素手で殺せるだろう。
主は疑うことなくワインを1口飲む。するとぱっと顔を輝かせた。
主はたった一杯で酔いが回ったのか、舌足らずに答える。
酒を飲んで幼児化してしまった主の手を引いて、ルカスはにこやかに寝室へ送り届けるのだった。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。