第15話

きゅうりととまと《R18》
537
2021/03/13 08:43
「じゃあお風呂入ってくるね」
「うん」
今日、恋人と一夜を過ごす。
恋人って言っても俺たちは同性だった。
別にゲイではない。ただ好きになったのが男だっただけの話だ。
ここは彼の家だった。俺の家でも良かったけど
「うちに来たらいいんじゃない??」
って言われたからお言葉に甘えることにした。
そして最愛の恋人は今お風呂に入っている。
俺は先に入ってきた。お客さんが先なんだって。
俺はベッドに腰掛けていた。
「たなっちの匂い…」
部屋は当たり前だが家主の匂いが染み付いていて俺は体全体が彼に包まれている気がして何となく嬉しくなった。そんな彼の部屋に異色を放つものが1つ…机の上に置かれた某オレンジのローションだ。これはHAPから帰る前にようへいくんがくれたものだった。勿論畑のみんなは俺達の関係を知っていて祝福もしてくれた。
そんな俺達もとうとう初夜を迎えることに…
たなっちは女の子みたいで可愛くて、俺が守ってあげなくちゃと常々思っている。そうやって思っているから、行為も勿論俺が上…だと思っていた。
お風呂から上がってきたたなっちは頬が赤くて少し髪が濡れてて…一言で言うならエッチだ。
「長風呂だった??」
そんなことを聞きながら机の上に置かれたローションをたなっちは手に取った。自分で慣らすのか…積極的だなぁ。
「そんなことなかったよ。」
たなっちは慣れた手つきで手にローションを乗せて…俺に近づいてきて俺のズボンに手をかけた。
「…へ??」
「何その反応‪wこれからするんだから慣らさないと。」
そう言いながら片手で器用に俺のズボンとパンツを脱がせる。
「いや、たなっちが下で…」
「何言ってんの、とまんが下に決まってんじゃん。」
そして俺の耳元に顔を近づけ
「だってこんなに可愛いんだもん。」
とたなっちは低い声で囁いた。
たなっちの指が、舌が俺の知らない快感を呼ぶ。
可愛いと思っていた相手が男らしくて、なんだか女の子にでもなった気分だった。
「もうそろそろいいよね??」
たなっちはそう言うと自分のモノをゆっくりあてがう。指なんかとは比べ物にならないモノが入ることへの不安と、これ以上の快感への期待で既におかしくなりそうだった。
ゆっくりと俺の中にたなっちが挿入ってくる。
「たなっちぃ…」
気持ちよくて、幸せで、俺は情けない声を出しながら手で顔を覆う。
「駄目」
しかしすぐにたなっちに手を外されてしまう。
「智貴の可愛い顔見せて??」
「んぅ…」
だんだん早くなると同時に、季節外れの汗と2人の荒い息遣いだけが部屋を満たす。
「智貴、愛してる」
「おれもぉ…あいしてゆっ…」
可愛いと思っていた彼氏に抱かれるのも悪くないなんて思ってしまう俺は、完全にたなっちの虜だ。

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