NO 視点
第2種目、騎馬戦の途中で、あなたは一度実況席から離脱した
すぐ近くの壁に背を付け、ズリズリと音を出しながら、その場にしゃがみ込んだ
顔は下を向いていて、仮面を左手に、右手で口を覆っている
虚ろな目で、そう言った
いつの間にいたのだろうか、すぐ先の廊下に、彼女の生徒である緑谷出久がいた
どうして……?と、あなたは未だにくらくらする頭で、その答えを探していると、
緑谷のその言葉で、あなたはふらふらしながら立ち上がり、緑谷の方を向いた
目を見開き、圧を掛けるようなそれに、緑谷は肩をビクつかせ、1歩後ろへと下がった
緑谷から背いて、お面を着ける
そう言ったあと、そのまま足を進めた
先程のやり取りを見られていたのか、実況席にいたはずのマイクと相澤が緑谷に説教をしていた
緑谷の様子に、相澤は1つため息を吐いた
図星なのか、緑谷は小さく呻き声を上げた
2人はそう言ったあと、実況席へと戻って行った
取り残された緑谷は、下を向いて顔を顰める
ぽつりぽつりと、ゆっくりと呟いた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!