岩本照side
今日はあなたが来る撮影の日。
朝から少しソワソワしたけどメンバーの前では平然を装っていた。
朝からメンバーも騒がしい。ま、いつものことでもあるけど。
みんな揃ってCMの撮影現場に行く。
現場ですぐにあなたの姿を見つけて目があった気がした。
撮影はどんどん進みメンバーもみんな真剣に打ち込んでいる。
ただ俺はあなたの横にいる上司らしい男がずっと気になってしまっていた。
仕事場の人だし仕方ないとはいえ
歳もそう離れてなさそうな男があなたと親しそうに話してるのが気になった。
ちょっと距離近くないか?
モヤモヤは残ったまま撮影は終了しみんなで楽屋に戻る。
メンバーたちがそんな話をしているのは聞こえてきているけど
俺はさっきの男が気になって仕方なかった。
今はもしかして2人きりで一緒にいるのかな?
声の方を見ると阿部に肩を掴まれて一緒に部屋に入ってくるあなたの姿があった。
あの男は一緒じゃないみたいで少し安心する。
メンバーも続々あなたに話しかけて興味津々だ。
あなたは仕事の話をしにきたみたいで
俺の隣に座らせてみんなで話を聞いた。
仕事の話をしてるあなたはいつもと違って
真面目な顔ででもどこか楽しそうに話す。
そんなあなたに見惚れていた。
話が終わるとまたメンバーがあなたと話し始めて賑やかになる。
自分の彼女が褒められるのは俺も嬉しい。
少しするとマネージャーが入ってきてその横にあなたの上司もいた。
撮影へ移動する前にあなたの耳元で声をかけた。
あなたは俺の目を見て頷いてくれたから背中をぽんぽんと触った。
本当に聞きたかったのもあるけどきっとあいつに見せつけたかったんだと思う。
俺が歩き出した時後ろからあの上司の声が聞こえた。
そこから先は聞こえなかったけど
あいつの意識の中に俺が入ったならとりあえずそれでいい。
少しして振り返るとあいつに腕を掴まれているあなたの後ろ姿が見えて立ち止まった。
佐久間に呼ばれて仕方なく撮影場所へ行く。
少しするとあなたとあいつもそこへ来た。
怪我もなさそうだし乱暴されたわけじゃなさそうだけどやっぱり気になって仕方なかった。
撮影が始まってからは気が紛れてきてメンバーと楽しく撮影できた。
撮影が終わり控え室は戻りあなたへ電話する。
電話が切れる前微かにさっきの男があなたを呼ぶ声が聞こえた。
一緒に来ていたから一緒に帰るのは自然なことだけど
さっきのことがあったから心配で仕方ない。
1秒でも早く会いたくて急いであなたの職場の方へ向かった。
近くに車を停めて待っているとあなたがさっきの男と一緒に会社から出てくるのが見える。
いつもなら人通りの多いところで車から降りないけど今日はわざと降りた。
あなたとあの男がこちらを振り向く。
2人とも驚いた顔をしていたがあなたはすぐに男に会釈してこちらへ駆け寄ってきた。
助手席のドアを開けてあなたを車に乗せる。
あいつはまだこちらをじっと見ている。
ドアを閉めてお辞儀するとあっちもお辞儀して返した。
これできっと俺のってこと伝わったかな。
車に乗るとあなたは困ったような顔をしてこちらを見ている。
構わず車を走らせるとあなたは少し怒ったように話し出した。
あなたが日頃からそう思ってくれてる方もわかってたし今日の俺の行動はアイドルである自覚の低い行動だったと思う。
でもどうしてもあいつに見せつけたかった。
予想外のあなたの言葉に俺は何もいえずにいるとまたゆっくり話し出した。
いつもと違う静かな車にいつもと違う空気が流れたまま家へと急いだ。
部屋に着くと暗い顔しているあなたを見て失ってしまうんじゃないかって不安になる。
2人でソファーに座ったけど少し沈黙が流れた。
目にいっぱいの涙を溜めてそう話すあなたを抱きしめると
あなたは我慢していた涙を一気に流した。
腕の中で首を左右に振るのを感じる。
こんなに泣くなんてきっと今日のことだけじゃなくて日頃から我慢させてきてたんだと思う。
あなたは目と鼻を赤くして俺の方を見た。
泣きっ面であなたが少し微笑んで
俺にぎゅっと抱きついてくる。
あなたに我慢させてしまっていること
心配をかけてしまっていること
わかってはいたけどどうしようもなくて
俺にできるのはそれをできるだけ
取り除くことと俺にしかあげられない
幸せをあげることしかないんだなって
絶対に幸せにしなきゃなって改めて決意した。
あなたの頭を撫でながらしばらく抱きしめているとあなたのお腹が鳴った。
そこからはいつも通りのあなたに戻っていて
2人で一緒にご飯食べていつもと変わらない時間を過ごした。
#筆者コメント
なんか暗くなってしまった🙏
あと長編難しい🥲短編始めようかと思ってます。スイマセン












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。