第17話

また、君に。
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2025/01/03 13:53 更新
こえ
5年前…?
おかしい、だって僕が中2の時だった。


5年前だったら僕はまだ10歳、れるちと出会ってもいないじゃないか。
ホトギ
こえは、去年会ったんだろ、れるくんと…
れるくんママ、本当なんすかそれって…?
義母
ええ、5年前からずっと命日には墓参りに行っているもの、

崖から転落して死んだの。でも自殺じゃなくて不慮の事故だったらしいわ、
れるはまだ14歳で、2018年のことだったかしら、
こえ
2018…⁉︎
不慮の事故…
僕らが出会ったのは2023。

そして、その時は不慮の事故なんかじゃない。


れるちは、自分から飛び降りて行った。


僕と、れるちのお母さんの言うことは全て食い違っている。


どうして、こんなことが…?
ホトギ
こえは、確かにれるくんと会ったんだろ、?
こえ
うん…もちろん。
れるちは自分のことを話してくれたし、
義母
…れるくんは、なんて言ってたかしら、?
少しでもいいから…教えてくれる?
私は…母の代わりになりきれなかったから、せめて知りたいの。

その目はれるちの死をずっと後悔している過去に囚われた瞳だった。


僕は、れるちに話してもらった過去を打ち明けた。

学校でのイジメは知っていたらしい、

だけどまさか過去にここまで酷い無理心中があったことは知らされていなかったんだとか。


義母
…そうだったのね、
私には…一切打ち明けてくれなかったわ。

れるちのお母さんはそう言い俯いてしまった。
ホトギ
れるくんは、絶対救われてたと思います、れるくんママに…!

ホトギが周りの空気を断ち切るようにそう言った。
こえ
僕も、そうだと思います。

れるちは、守りたかっただけなんです。
生活が壊れたら家庭も壊れるって知っていた、

2度と手放したくなかった、怖かっただけなんです。
何かを守るためには、何かを犠牲しなくちゃいけなくて、


孤独だと思っていた僕らは、自分自身にしか錘をつけることしかできなかった。
義母
…!

ありがとう、
こうやって救えなかった過去を後悔してばかりじゃダメよね、
もう私も…前を向かなきゃ、
目には涙があった。

でも先程と表情は変わり、顔は少し希望が感じられた。
義母
れるの命日は、2018年、8月4日、つまり今日なの。
お墓は少し遠いけど山奥の中にあってね、

月読神社って場所のすぐ近くにあるの。
ホトギ
ツクヨミ…神社、?
義母
全国に複数ある神社なんだけどね、

天照大神の弟である月読尊って言う神様が祭神なの。
崖の下で死んじゃったんだけど、ちょうど落ちた場所がその神社だった。

だから月読尊が見守ってくれるようにって、お墓を近くにしたの。
月読尊。


昔、声音にいが教えてくれたような記憶がある。
確か日本神話に出てくるアマテラス、スサノオ、イザナギの禊から生まれた三貴神の1人だったはず。


まさか…あの日見た、祠。



あれは…月読神社だった…⁉︎

れるちは月読神社を見て何かを思い出したかのような表情をしていた。



そして彼は確かに僕に言った言葉がある。




「未来で、待ってる」と。
こえ
そこに、行きたいんですが、

道を教えてもらえませんか…!

僕は、真実を知りたいから。

また、彼に会いたい。
義母
いいわよ、

少し分かりにくい場所なんだけど_


そうして僕は月読神社に実際行ってみることにした。


僕らだけでも行けそうな場所ではあったので、また僕とホトギだけで行かせてもらうことにした。


ホトギ
なんだか山奥に入っていくのも久しぶりだなぁ〜

れるくんとは昔、こういう場所で遊んでもらってた!
こえ
そうだったんだね、

れるちが死んだことは知らなかったんだよね、?
ホトギ
うん。こえに教えてもらうまではな〜…

連絡先も交換せずに別れちゃったし、しょうがなかったけど。
そんな話をしていると、小さな石柱を発見した。


その先には石段が続いている。
ホトギ
ここかな、言ってた場所。
行ってみるか!
こえ
あ、ちょっとホトギ!
速いってば!
ホトギは僕を置いてあっという間に階段を駆け上がっていく。

そこは見覚えのある景色だった。


僕が絡まれちゃって、逃げる時にここを駆け上がっていったんだっけ。

入れば入るほど森は深くなる。

道というものは全く整備されていない。

序盤はまだケモノ道くらいの悪路だったけど、歩き始めて10分ほどで既にケモノ道でさえなくなった。



完全に山に遭難した気分になる。


言われた通りに来ているから…平気、だよね…?
ホトギ
あ、ここじゃね…⁉︎
こえ
…!!
そこには、




れるちが飛び降りる前に見た祠と全く同じものがあった。


ホトギ
あ…お墓、!
ホトギが見つめた方向に、小さいが花が添えられたお墓があった。


どうやら、まだ今日お供えしたばかりの花だった。


今日が命日と言っていた、きっとれるちのお母さんが来たのだろう。
こえ
ツクヨミって、どんな神様なんだっけ…?
ホトギ
えっと…調べてみる。

夜を支配する偉大な神、
「その輝きは日に次ぐ美しさなので、日と並んで統治すべしと天へ送られた」
…と日本書紀に記され、太陽と比肩しうる月の神とされた。

つまり…夜を統べる神ってことだな。
こえ
夜を統べる神…
そういえば、


あの日…夜の星や月、空は僕たちを見守ってくれている、そんなような気がした。

それは…この神社が関係していた…?




その時だ。





ピカッ



ホトギ
っ、なんだ⁉︎
こえ
祠がっ…!
その瞬間、祠が強い光を放った。



僕らはその光に一瞬にして飲み込まれてしまった。
こえ
っ…
????
…えくん、こえくん、
こえ
んんっ…
目を覚ますとそこは先程の場所ではない。


そこには_
れる
こえくん…!
こえ
…!
れるちっ…!
僕の、大好きな人がいた。

体を起こすと、ふわっと浮くような感じがした。

無重力のような空間だ。


この空間には、僕とれるちしかいなかった。
こえ
…ッ
どうしてここに、?
思わずグッと堪えていたものが、溢れ出しそうになる。

れるちと、また会えたから。


でも僕はまた我慢して、そう問いかけた。
れる
言ったやろ、「未来で待ってる」
こえ
あっ、…!
そうだった。


君は、死んだ。


だけど、ここに僕が来るまで、その未来まで。

待ち続けてくれたんだ。
れる
ここは、特別な空間。
ツクヨミ様が生み出してくれたんや、
れるはここに落ちて死んだ。

ツクヨミ様はそれを見ていて、
れるを死後にここに置いてくれた。
こえ
ツクヨミ様が、か…

…じゃあ、なんで死んだのに去年…
君と僕は出会ったの、?
だって時系列的におかしいじゃないか。

れるちが死んだのが先なのに僕はれるちの死後に出会ってるということになる。
れる
それは、ツクヨミ様の力やで。

ツクヨミ様は、月を読むって書いて月読。
だからツクヨミ様はは日月を数えることから、
暦を司る神格って言われたんや。

だから、過去は変えれずとも繰り返すことはできる。
れる
だから、れるは…自分が生きていた頃にこえくんを移してもらった。
こえくんは、2023年のことだと思っていたと思うんやけど
2018に行ってたんや。
こえ
…!
そんなことが、起きていたのか。

何故かれるちと話していると違和感を感じる時があったのはそういうことか、


だけど…まだ疑問に思うことがある。
こえ
どうして、れるちは…
僕に会いに来たの、?

どうして僕は過去に戻ったの、?
僕らが実際に生存している時に出会ったことはない、だけど何故れるちは僕と出逢おうと思ったのか。


そして、僕が同じ記憶を繰り返した理由ってなんだろう、って。




れる
それは…

どうしようもなく、こえくんに恋してしまったからやで。
こえ
っ…!
それって…
れる
こえくんが14歳の時、ここに来てくれた。

その時にれるは君を見て、おんなじかもしれないって思った。
れるなら救えるかもしれない、って思った。

でも何よりも、愛すことを恐れたれるが恋をしたからなんや。
愛されることを恐れた僕。


愛すことを恐れた君。



そうだ、僕たちの出会いって…本当に奇跡だったんだ。
れる
でも一度、れるは間違えた。
お互いに本音を知らずに、勝手に突っ走って、

こえくんを傷つけた。

れるの死は取り消せない、だから期限までに死ぬのが条件だったんや。
こえ
っ…
君の死はやっぱり最初から取り消せるはずがなかった。

でも、これだけは違うよ。
こえ
れるちだけのせいじゃない、突き放した僕だって悪かった…!

でもさ、過去は変えられなくても僕たちは最後に分かり合えた。
お互いに、本音を伝えて、知れた。
れる
…こえくん、本当に君って人は…優しい人やな。
こえ
れるちだってすごい人だよ。
僕はれるちにたくさん色んなものを貰った。

本当に、ありがとうっ…!
感謝を伝えた途端に、ぼろぼろと堪えた涙が流れた。


れる
ははっ、w
めっちゃ泣くやん!
こえ
だってぇ…
れる
会いに来てくれてありがとうな、

会えて嬉しい。
れるはさ、ずっとここにいるからさ。

また来てくれや。いつでも。
れるちの笑顔は、変わらずキラキラとしていて、



僕はその顔を見て大きく頷いた。
こえ
うんっ…また来るね!
誰よりも大好きな、


君に。
あれから、5年がたった。


僕は大人になった。




ホトギ
こーえー!
おそいおそーい!
こえ
ちょっと、速いってば!
ホトギ
ほらほら置いてくぞー!
僕らは、今絶賛山にいる。


大好きな人に会いに行くためにね。



僕とホトギは同じ高校、大学に進んだ。


音楽を専門とするところだ。



まだまだアマチュア程度だった僕たちは、本当に入学したては大変だったなぁ、


でも必死にもがいた。必死に向き合った。



そして、僕とホトギで路上ライブなんかもやったりしてた。


なんと、18歳に時にあるプロデューサーの目に止まって僕とホトギの2人でデビューすることになったんだ。


最初はグループ名を「Voice stainless」にしよう!とホトギは言い張ったものだが、

玲司さんの助言もあり僕らのグループ名は「ARIA」となった。



ちなみに星の、アリアからとった。アリアの星言葉は「奏でる幸せのうた」「導く光」


歌で誰かを幸せに、導ける星になれるようにっていう願いを込めてね。




僕たちが今回ここにこた理由は、れるちに会いに来たのと、




武道館ライブの成功祈願だ。
ホトギ
業界では最速って言ってたよなー!
やっぱり俺たち最強だな!

あいぼうっ!
こえ
そうだね、あいぼう。
僕はそう言い、ホトギの突き出した拳を突き返す。


ホトギはこのやり取りが昔から本当に大好きだよなぁ、


それにしてもまさか、僕らが武道館だなんてね。本当にびっくりだよ。



全部、もう一度音楽をやる勇気をくれた君のおかげだよ。
ホトギ
お、ついたー!
そうホトギは言った。


今日は8月4日。


君の命日、そして後からホトギに教えてもらったことだけど誕生日でもあったんだね。


僕はひまわりを墓にそっと添えた。
こえ
どうか、僕たちを見守ってください。
ホトギ
遠くから、応援しててください!

僕らはそう言い、数分その場に留まって願った。


大丈夫だよね、僕らは少し違う場所にいるけど離れ離れじゃないから。

この場所に来ると、いつも脳裏に君との記憶が再生される。


君と過ごした記憶は、生涯忘れることがないだろう。



君を、愛せて良かった。君に愛してもらえて良かった。




こえ
大好きだよ、

そんな言葉をふと口にする。



聞こえてるよね、だって君はいつもここにいる。



その時、夏の暑さを和らげるような優しい風が吹いた。


その風は僕の背中を押してくれる気がした。
ホトギ
こえ、いくぞ!
こえ
あ、うん!
いこっか、!




これは僕と、そして君の。


あの夏の日の思い出。


こえ
また、会いにくるね!
僕はそう君に言った。












END

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