あなた『肺癌ですか…?』
違和感は感じていた
喧嘩の際に息が上がりやすくなっていた
それは日常生活にも多々あった
ただ体力が落ちただけだと思っていたが念のために病院に行くことにした
そして告げられた"ステージ4の肺癌"
かなり腫瘍が大きくなっているため、取り除くのは難しいと言われた
腫瘍を取り除くのはその分負担がかかる
だが良性なため転移はしないそうだ
医者「しかし…」
声をワントーン下げ、次の言葉を促す
なんとなく、分かってしまった
肺癌と告げられた時から、嫌な予感はしていた
拳をそっと握り締め、唾を飲み込んで続きの言葉を待った
医者「余命、一年です」
あなた『っ…』
鈍器で頭を殴られた気分だった
分かっていた…
分かっていたけど…
言葉を失うとは、頭が真っ白になるとは、このことなんだと…そう思った
夢だと、嘘だと思いたくなる
医者「治療法はもちろんありますが…」
あなた『助かる可能性は低い…ってことですか?』
医者「はい…」
医者「治療するもしないも、神明寺さん次第です」
医者「少ない可能性に賭けるか、このまま残りの時間を過ごすか」
そう言われて真っ先に思い浮かんだのは東卍のみんな
喧嘩ばっかの毎日だけど私は"今"の生活が好きだ
だから一瞬、残りの時間を過ごそうかと考えた
でも、みんなの未来を側で見れなくなるのも嫌だな
あなた『…少し、考えさせてください』
医者「…分かりました」
医者「酷なことを言いますが、決断はお早めにお願いしますね」
あなた『はい…』
ぺこりとお辞儀をして病院を後にした
私の心は暗闇に放り込まれたようだった
あなた( 今か未来を選ぶ にしても、みんなに話さなきゃいけなくなるよな…)
でも、話してどうする?
私は"今"が好きだ
毎日のように喧嘩して、バカみたいなことで笑って、私が私で居れる、そんな今が好きだ
話したら、みんな私の身体を気にする
喧嘩が出来なくなる、前みたいに話せなくなる、悲しませる…
…だったら、話さないほうが…いいよね…?
私は考えをまとめるために公園のベンチに座った












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!