そこで気づいた。
踏みつけられていた子供は健太だった。
どおりて似ている声だと思ったわけだ。
バシッ
健太の母親は、俺がいる前で健太をぶった。
何度も何度もぶった。
俺が仲裁に入ろうものなら、母親は俺を突き飛ばし、
今度は健太の首を締め始めた。
俺には分からなかった。
この母親の沸点が。
どこでこんなにスイッチが入ったのか。
俺には理解ができない。
ようやくのことで母親から健太を離すことができた。
そして母親はフラフラとした足取りで、
どこかへ行ってしまった。
俺は腕の中にいる健太に目を落とした。
やっぱ、ダメだ。
俺、ずっと考えてた。
このまま健太をあの家に帰してしまっていいのかどうか。
けど、さっきので迷いが迷いじゃなくなった。
帰したらダメだ。
俺が優しく聞くと、泣きながら弱々しく頷いた健太。
これからのことは、家で考えよう。
まずは、健太を落ち着かせることが最優先。
俺は腕の中にいる健太を抱き抱えて、自宅へと帰った。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。