第12話

泣き声の正体_#12
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2020/05/20 14:18 更新
そこで気づいた。
与那嶺瑠唯
健太?
神谷健太
グスッ…るぃ
踏みつけられていた子供は健太だった。
どおりて似ている声だと思ったわけだ。
知り合い?
神谷健太
はい。
ハァ、何回言ったら分かるの?
私が知らない人と関わらないで。
バシッ
健太の母親は、俺がいる前で健太をぶった。
何度も何度もぶった。
俺が仲裁に入ろうものなら、母親は俺を突き飛ばし、
今度は健太の首を締め始めた。
与那嶺瑠唯
おい、やめろ!!!
俺には分からなかった。
この母親の沸点が。
どこでこんなにスイッチが入ったのか。
俺には理解ができない。
ようやくのことで母親から健太を離すことができた。
与那嶺瑠唯
あんたなにやってんだよ!
…あたしだって!あたしだって…頑張ってるの。
仕事も夫のことも、頑張ってるの。
でも、もう疲れた。
子育てする気にもなんない。
あー、なんで子供なんて産んじゃったんだろ。
子供なんていらないのに。
そして母親はフラフラとした足取りで、
どこかへ行ってしまった。
与那嶺瑠唯
健太?
俺は腕の中にいる健太に目を落とした。
神谷健太
…グスッ
やっぱ、ダメだ。
俺、ずっと考えてた。
このまま健太をあの家に帰してしまっていいのかどうか。
けど、さっきので迷いが迷いじゃなくなった。
帰したらダメだ。
与那嶺瑠唯
健太、今日は俺の家に来る?
俺が優しく聞くと、泣きながら弱々しく頷いた健太。
これからのことは、家で考えよう。
まずは、健太を落ち着かせることが最優先。
俺は腕の中にいる健太を抱き抱えて、自宅へと帰った。

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