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駿佑 side
21時からの生放送が終わり今の時刻は22時30分。
もう希望なんてないけど、俺はあなたの事務所に行った。
警備員さんに顔を見せると快く通してくれて、久しぶりの彼女の事務所を歩いていると聞き覚えのある声が俺を呼んだ。
「道枝さん!」
その声は確実に西畑大吾って奴の声。
何より驚いたのは、この時間に彼が事務所にいることだ。
慌てて振り向くと、案の定そこには西畑さんがいた。
駿佑「なんですか。」
今の俺は絶望という黒い文字で包まれている。
人と話すのさえ嫌なくらい。
そんな素っ気ない態度を無視して西畑さんは俺の手を掴み、強引に会議室に引っ張った。
まじでなんやねん。
思いっきり睨んでやると、彼はそれに動じることなく俺の目を見て話し出した。
大吾「道枝さん、今から俺が言う事、怒らないでくださいね。」
駿佑「…どういうことですか。」
大吾「まず、あなたが家を出ていきましたよね?」
なんで知ってんねん…
けど、そうですよ、とは言いたくなくて俺は俯いた。
大吾「その反応は肯定と見ますね。それで、今あなたはホテルにいます。場所も分かっているのでご安心 「どこやねん!!」 落ち着いてください…」
落ち着いてられるかよ…
なんでこいつはあなたの場所を知っているのに俺は知らんねん。
ストレスで前よりも短気になった俺は、今にも西畑さんに掴みかかろうとしている。
そんな俺を、彼は手で抑えて離し、また口を開いた。
大吾「少し前、あなたから電話がかかってきました。駿佑と別れることにした、と。それで、泣いている様子だったのでホテルに駆けつけるとあなたはその理由をすべて話してくれました。
理由は、道枝さんに恋をしている人が世界中にいると実感してしまったから。
道枝さんを想う人達から彼女は脅迫、暴言だらけの手紙を何通も受けているんです。」
そんな…また俺に相談もせんと、なんで…?
どんなことも2人で乗り越えようって約束したやん。
大吾「あなたは多忙な道枝さんに、これ以上ストレスを与えたくなかったのでしょう。不器用な彼女なりの判断だと思います。」
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。