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大吾 side
明日のあなたのスケジュールで変更があって、夜まで事務所に残っているとあなたからの着信があった。
あなたからかけてくることなんて滅多に無いから慌てて出ると、彼女の泣き声だけが耳に入ってきた。
大吾「あなた?泣いてるん?」
そう尋ねても、あなたはひたすら泣くだけやった。
大吾「今ホテル?」
『…うんっ。』
よっぽど泣いてるんか、声が掠れている。
大吾「分かった。すぐに行くからエントランスにおって。」
何があったのかは分からんけど、道枝さんが関わっている事はほぼ確実や。
他の男を想って泣いている女の元へ駆けつける俺はつくづく馬鹿なヤツやと分かりながらも、好きなんや。
もう一度、俺のものにしたい。
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ホテルに到着すると、あなたが先日と同じように部屋に案内してくれた。
『、はい、って、』
こんなに泣く子やったっけ。
道枝さんと出会って随分と変わったんやな…
部屋に入り2人でソファに座ると、あなたはポツポツと話し始めた。
『私、自分から離れたくせに凄く後悔してるの。テレビに映る駿佑を見て、もう本当に会いたくて…苦しくて辛い…どうしたらいいのっ…』
ほんまに苦しそうに話すもんやからこっちが辛くなってくる。
俺にはもう、チャンスなんてないんかな。
大吾「あなた…俺はもう絶対に泣かせたりせん。前以上に大事にするし愛せる自信がある。これで聞くのは最後にするな。…俺じゃ、あかん?』
するとあなたは、
『ごめんなさい。』
と再び泣き出してしまった。
大吾「…ありがとう振ってくれて。それと、これも最後にするな。」
最後って言葉は悲しくもあり、最強なんかもしれん。
俺は、強くあなたを抱きしめた。
俺の腕から離れて欲しくない。
大好きや。
その気持ちが全てあなたに伝わるように。
最後という言葉を利用して抱きしめ、俺の中での " けじめ " というものをつけた。
泣きそうな顔を見られないために、結構長い間抱きしめていた腕を渋々解いた。
よし。
西畑大吾、一肌脱ごうか。
大吾「あなた、どうか俺を恨まんとってな。」
それだけを言い残してホテルを飛び出した。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。