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ホテル生活7日目。
今泊まっているホテルには、前に空港で勘違いして家を出た時も泊まったからか、まるで家にいるかのように過ごせる。
相変わらず仕事は忙しくて、私の心の傷を癒す時間なんてこれっぽっちも与えてくれない。
今日も朝の6時からロケに行って、午後に帰ってくると同時に雑誌の撮影に向かい、終わったら次はテレビの収録、と凄い移動があり、疲労は絶頂にたどり着こうとしていた。
こんな時、いつも疲れを癒してくれたのは駿佑だったな。
会いたいな。
今頃何をしてるかな。
駿佑は仕事柄たくさんの美女と関わり誘われるらしいけど、彼女がいるから、といつもばっさり断ってくれていたらしい。
でももう、もしかしたら誘いに乗っているかもしれない。
勝手に家を出て行くような恋人、私だったら早く忘れたいし。
なのに、なんで駿佑は、今もこうして私に電話をかけてくるの?
LINEをくれるの?
離れきれないじゃんか。
携帯を見るとLINEの通知は最大になっていて、一体何を送ったらこんな数になるのか不思議でならない。
はぁ、とため息をついた時、駿佑からの電話がピタリとやんだ。
遂に愛想をつかされたのかな。
自分から離れたくせして泣くなんて情けない。
でも、勝手に溢れてくるんだもん。
何とかして気を紛らわすためにテレビをつけると、丁度夜の9時で生放送のバラエティー番組がやっていた。
『、駿佑。』
テレビに映る彼を見て、思わず名前を呼んでしまった。
久しぶりに見た駿佑は、表情が硬くて目の下にはメイクで隠しきれなかったであろうクマがあった。
その姿に、またもや涙が溢れてくる。
もう、なんも謝ったって謝りきれないよ。
苦しい。
辛い。
会いたい。
なぜだか分からない。
気づいたら私は、大ちゃんに電話をかけていた。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!