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第1話

プロローグ
14
2026/04/17 09:57 更新
ネパールで、大きな地震があった。



現地は悲惨な状況で、各国から救助隊がやってきていた。



瓦礫の下にいる家族を待つ人、亡くなってしまった友人を前に泣き叫ぶ人…、そんな人たちがあちこちにいた。



私がここに来たのは、確か。




『そんなところ、行くな』

『私は…あの時みたいな人を増やしたくないから。ごめんね』




あの時――私が10歳になる年に起きた震災に、たまたま大阪に出張に行っていたパパが巻き込まれたことを思い出す。



テレビでは連日、倒された高速道路やビル、荒廃した街、混乱に飲まれた避難所などの様子が報道されている中、私の家には一本の電話があった。



それを受けママに連れられて行ったのは、近くの警察署の霊安室だった。



一面真っ白な部屋の中央に、冷たいパパが寝かされていた。



体には傷が多かったり、関節もおかしな方向に曲がっていたりして、無惨な姿だった。



だけどまだ、ケガをして寝ているだけに見えた。



きっとそう信じたかったからだろう。



しかしこの部屋には、心臓の音も呼吸の音も一つずつ足りていなかった。



それを聞いてしまったとき、すべて悟った。



あんな気持ちはもう、したくないと、幼いながらに決めていたからこそ、私は反対を押し切って、荒れたネパールへ仲間と共に飛んだ。






「…救えてよかった」






いつから、私の生きる道が変わったのだったか。



何を機に、私は持って生まれた力をこの方向に使うことにしたのだったか。



私は何を目指すつもりだったのか。



それもすべて――。

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