__________、思い出す。
家出する前日のことだった。
母から告げられた残酷な言葉は、今もナイフのように深く突き刺さっている。
私の『夢』を真正面から否定されたのは、あの日が初めてだったのかも知れない。
人を殺したあの日、私は家族に見捨てられた。
「もう救いようがない、庇えない」
「手に負えない」と、冷たい視線を向けられた。
それでも、言葉で否定はされなかった。
_____だから、ずっと私に "勘違い"をさせたんだ。
現実を見せないで。家に閉じ込められて。
人を殺してしまった私、
それでも「ヒーロー」を諦められなかった私を、
母は、ようやくあの日に、''否定''した。
早々に諦められ、見捨てられていたのなら、
『今』よりどれほど良かっただろう。
ズキンッ、!!
その日は、頭痛に魘されて眠れなかった。
歪に欠けた三日月は、長い夜に輝き続けている…___
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
長いようで短かった職場体験が終わって、ファットガムさんにお見送りされる。
目を合わせようと必死に見上げると、彼の大きな口がニッコリ笑っていた。
最終日の筋トレでも連日の成果が出なかったから、
てっきりついてないのかと思っていたけど…
……意外と、自分では分からないんだな。
ぶんぶんと手を振るファットガムさんは、しばらく歩いて離れたところから振り返っても見えた。
満点の青空
すいすいと伸びる一筋の飛行機雲
_____気持ちの良い天気とは相対して、
私の心には、暗い影を落としたみたいに靄が広がっていた。
これで職場体験編は終了…!
次はこちらでーすっ!!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。