私が声をかけると折原さんはヒラヒラと手を振った。
折原さんは立ち上がったと思うと、向かい合っていた椅子の後ろに立ち、その椅子を引いてくれた。
華やかな笑みを浮かべて言ってくれた。
軽く一礼して椅子に座る。
すると、タイミングを見図ったように林檎さんがおしぼりと水を出してくれた。
メニューをとると、林檎さんはすたすたと優響さんの居るカウンターへ向かった。
そんな会話をぼーっと眺める。
慣れない口調にたじろいでしまう。
「ふふっ」と上機嫌に笑うセンラさん。
センラさんは徐にカップに入ったコーヒーを匙でくるくるとゆっくり混ぜる。
キラキラとした天女のような整った顔で笑うセンラさん。この人が女子から人気な理由が判る気がしないでもない。
しかし、私と話せて嬉しいというのは変わった人も居るものだ。
美味しそうにオペラを見つめるセンラさん。
女の子みたいで微笑ましいと思う。
さっきよりも声が弾んでいる。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!