昨日の夜も、朝飯を食べる時も、学校への通学路も、先輩のことが頭から離れずにいる。
自分が言ってしまったことへの罪悪感と、これから先輩とどのように接すればいいのかという困惑が、俺を襲う。
とにかく、先輩に謝りたい。
謝って、改めて話がしたい。
こっちが悪いことをしておいて、こんなお願いをするのはなんだが、何も言わないよりはマシだと思う。
先輩は俺のことを許してくれるのだろうか。
もういっそのこと、許してくれなくてもいい。
ただ、俺の自己満であってもいいから、先輩に謝りたいのだ。
あの日、どうして先輩を傷つけてしまうことを言ったのだろう。
そんなつもり、なかったのに。
全くもって授業を聞いていなかった…
まぁ……わかる、か?
俺は急いでページをめくる。
ますます鬱だ……
ただでさえ多い課題を多くされるとは。
もう今回で懲りようと、心から思った。
♦︎ ♦︎ ♦︎
何が面白いのか全く分からないが、律はけらけら笑っている。
大方のことを説明すると、律はなるほどね〜、と納得した様子であった。
と言うので、自分から3年の教室には行かずに、律に任せることにした。
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とんでもなく大きな不安に苛まれながら、お弁当を持ってベンチに座る。
頭の中で、どんな会話をしようかとシナリオを立てる。
許されなくてもいいと思っていたが、遂にこの時間が来ると、とても嫌なのだ。
紬先輩が、渋い裏声を出して話しかけてきた。
来てくれた…と安堵する気持ちが買った。
やはり紬先輩も居ると場が和む。
響先輩が物言いたげに口を開く。
こういう時に勇気を使うもの、なのだろうか。
やっとだ。
やっと言えた。
俺の胸の中の蟠りが溶けていく。
これでもう、心残りはないとまで言い切れる。
所々つまづきながら、先輩も謝罪の言葉をかけてくれる。
謝ったからには、すっきりと終わりたいところだ。
そう思った俺は、紬先輩と響先輩と3人で弁当を食べた。
いつものように、おかずを交換して、たわいもない話をした。
危うく飲んでいた紙パックドリンクを吹き出すところだった。
先輩と連絡先を交換することが出来るのなら、それは俺の本望だ。
その後連絡先を交換して、各々解散とした。
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すっきりと清々しい気持ちで階段を登り、教室までの帰路を歩いていると、あの人の顔が見えた。
めんどくさい人に捕まった…と後悔する気持ちと裏腹に、俺の口頭からは綺麗事が出ていく。
威圧的な雰囲気を纏った彼は、俺の目をじっと見つめている。
へらへらとしている割に、目が笑っていないのはお見通しである。
極力冷たくならないように気をつけて言ったつもりだが、実際もっと冷たかったのだろう。
こわー、と湊先輩が呟く。
人の事十分言えない立場だろ…
急に真面目なトーンになって言ってきた。
これは事実だ。
ここで嘘をつけば、余計勘違いされることになる。
まくし立てるように言って、何事もなかったかのように帰って行った。
その後ろ姿が、どうも妙な自信に溢れていて、見ていて嫌な気分になった。
響先輩は、湊先輩のことどう思っているのだろうか。
明日の昼飯の時にでも、聞いてみるとするか

















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。