第11話

第四章(四季目線) わくわく①
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2025/03/30 05:48 更新
昨日の夜も、朝飯を食べる時も、学校への通学路も、先輩のことが頭から離れずにいる。

自分が言ってしまったことへの罪悪感と、これから先輩とどのように接すればいいのかという困惑が、俺を襲う。

とにかく、先輩に謝りたい。
謝って、改めて話がしたい。

こっちが悪いことをしておいて、こんなお願いをするのはなんだが、何も言わないよりはマシだと思う。

先輩は俺のことを許してくれるのだろうか。
もういっそのこと、許してくれなくてもいい。
ただ、俺の自己満であってもいいから、先輩に謝りたいのだ。

あの日、どうして先輩を傷つけてしまうことを言ったのだろう。
そんなつもり、なかったのに。

一条 四季
一条 四季
(やっぱり先輩怒ってるかな……)
先生
…!……
おい!四季、この問題の答え、わかるか?
一条 四季
一条 四季
(やば……)

全くもって授業を聞いていなかった…

まぁ……わかる、か?

俺は急いでページをめくる。
一条 四季
一条 四季
ぇーと……√2…です
佐々木 律
佐々木 律
げ……四季…違うよ…
先生
ほーぅ?あの四季が分からないとは……
課題を増やした方が良さそうだな

ますます鬱だ……

ただでさえ多い課題を多くされるとは。

もう今回で懲りようと、心から思った。

♦︎ ♦︎ ♦︎

佐々木 律
佐々木 律
あはは、珍しいね〜
四季があんな問題間違えるとか…
何が面白いのか全く分からないが、律はけらけら笑っている。

一条 四季
一条 四季
違くてだな…
大方のことを説明すると、律はなるほどね〜、と納得した様子であった。

佐々木 律
佐々木 律
紬からそういう話聞いてないけどね〜、
まぁとりあえず紬に言っとくから、お昼一緒に行ったら?
と言うので、自分から3年の教室には行かずに、律に任せることにした。

  ♦︎ ♦︎ ♦︎

一条 四季
一条 四季
先輩…来てくれるかな……
とんでもなく大きな不安に苛まれながら、お弁当を持ってベンチに座る。

頭の中で、どんな会話をしようかとシナリオを立てる。

許されなくてもいいと思っていたが、遂にこの時間が来ると、とても嫌なのだ。

一条 四季
一条 四季
……意気地無しだな、俺…
神崎 紬
神崎 紬
自己嫌悪とはどーしたんだい?
四季少年
紬先輩が、渋い裏声を出して話しかけてきた。
神崎 紬
神崎 紬
響、連れてきたよー
来てくれた…と安堵する気持ちが買った。

やはり紬先輩も居ると場が和む。

神崎 紬
神崎 紬
ほら響、なにもじもじしてんのー!
かっこ悪いぞ〜?
小鳥遊 響
小鳥遊 響
ぇと……その……うぅん、…
響先輩が物言いたげに口を開く。

こういう時に勇気を使うもの、なのだろうか。
一条 四季
一条 四季
響先輩、…先日は、すみませんでした…!!
やっとだ。 
やっと言えた。

俺の胸の中の蟠りが溶けていく。

これでもう、心残りはないとまで言い切れる。

小鳥遊 響
小鳥遊 響
あのね、…ぇっと…
私も、ごめん
四季を、傷つけた
所々つまづきながら、先輩も謝罪の言葉をかけてくれる。
神崎 紬
神崎 紬
四季くん、響もね、謝りたいって思ってたんだよ
だから、ね?許してあげて?
一条 四季
一条 四季
はい、もちろん、です!
謝ったからには、すっきりと終わりたいところだ。

そう思った俺は、紬先輩と響先輩と3人で弁当を食べた。

いつものように、おかずを交換して、たわいもない話をした。

小鳥遊 響
小鳥遊 響
ねぇ四季、私ね、言おうか迷ってたんだけどさ
連絡先交換しようよ
危うく飲んでいた紙パックドリンクを吹き出すところだった。

先輩と連絡先を交換することが出来るのなら、それは俺の本望だ。
一条 四季
一条 四季
はい、もちろんです!
その後連絡先を交換して、各々解散とした。

♦︎ ♦︎ ♦︎

すっきりと清々しい気持ちで階段を登り、教室までの帰路を歩いていると、あの人の顔が見えた。
南雲 湊
南雲 湊
よぉ、久しぶりだね
めんどくさい人に捕まった…と後悔する気持ちと裏腹に、俺の口頭からは綺麗事が出ていく。

南雲 湊
南雲 湊
俺さーァ?言いたいことあんだけど、
威圧的な雰囲気を纏った彼は、俺の目をじっと見つめている。

へらへらとしている割に、目が笑っていないのはお見通しである。

一条 四季
一条 四季
なんですか、
極力冷たくならないように気をつけて言ったつもりだが、実際もっと冷たかったのだろう。

こわー、と湊先輩が呟く。

南雲 湊
南雲 湊
俺の響のこと、泣かせたよね?
人の事十分言えない立場だろ…

急に真面目なトーンになって言ってきた。
一条 四季
一条 四季
響先輩のこと、悪いと思ってます。
でももう、許して貰えたので、
これは事実だ。

ここで嘘をつけば、余計勘違いされることになる。

南雲 湊
南雲 湊
まぁとりあえずさ…
はっきり言ってめーわくなのよ、君は
今回は見逃してあげるけど、次やったら俺怖いよ?
まくし立てるように言って、何事もなかったかのように帰って行った。

その後ろ姿が、どうも妙な自信に溢れていて、見ていて嫌な気分になった。

響先輩は、湊先輩あいつのことどう思っているのだろうか。

明日の昼飯の時にでも、聞いてみるとするか


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