第10話

番外編 バレンタイン
20
2025/02/14 06:00 更新
神崎 紬
神崎 紬
全然駄目だぁ…上手にできない……
もうちょっと、練習しなきゃ…
今日はバレンタインデー前日の休日

響を家に招いてチョコ作りの手伝いをしてもらっている

小鳥遊 響
小鳥遊 響
勤勉ですねぇ
今日は私の先生として来てもらった響といえば、持参のベースと楽譜を持って、曲のコード練習をしているようだ

勤勉なのはそっちの方だ。
私はろくにキーボードもやらずにバレンタインチョコ作りとは…

違う、これは律のためのチョコだ。
別に無駄な時間とか、一際ない。断じてない

神崎 紬
神崎 紬
もっとちゃんと教えてよ!?
とうとう痺れを切らした私は、響に声をかける

耳につけていたイヤホンを外して、こちらを見る

小鳥遊 響
小鳥遊 響
やーだよ、
そんなことしても、紬の大事な律後輩は喜ばないよ〜?
響がにやりと悪戯っぽく笑う。
こんな笑い方、四季くんにはしないくせに

謎の嫉妬心のようなものが私を襲う

別に響のことを恋愛対象としているわけではなく、こんな響の一面を知らない四季への罪悪感に苛まれているだけだ

響も、いつか四季くんにこんな笑い方するようになるのだろうか…

響への期待感が大きくなっていくのが分かる

というか、私は今律へのチョコを作らなければならないのだった

……まぁとにかくやるしかない、か…

神崎 紬
神崎 紬
ねぇ響!?
このレシピと解説軽く詐欺だよね?
小鳥遊 響
小鳥遊 響
どした、
かけている眼鏡を軽く持ち上げ、レシピが書いてあるスマホを覗き込む

レシピに書かれているのは…

「超簡単⭐︎初心者向け、ガトーショコラの作り方」
神崎 紬
神崎 紬
どこも簡単じゃないんだけど…
小鳥遊 響
小鳥遊 響
そういうものだよ〜、レシピは
よくよく考えたら、簡単に作れるお菓子なんかあることはないのだ…

これこそ響様頼りをするしかない……

小鳥遊 響
小鳥遊 響
こういうのは心だよ、心!
一応手伝ってはあげるけどね、
そう言いながら響がキッチンへ入ってくる

私の手からボウルとヘラを取り上げ、慣れた手つきで混ぜ合わせる

小鳥遊 響
小鳥遊 響
さっくり、さっくり…かるーく混ぜるだけで……
神崎 紬
神崎 紬
すごい……上手すぎる…
自慢げにドヤ顔をする彼女

神崎 紬
神崎 紬
まぁ今のを参考に自分でもやってみるよ…
小鳥遊 響
小鳥遊 響
がんばれー
よし…律のため…頑張らなければ…!

                      ♦︎ ♦︎ ♦︎

神崎 紬
神崎 紬
あの…律、これ
流石に恥ずかしい…
多分顔が赤くなっているのだろう。耳が火照っているのが分かる

佐々木 律
佐々木 律
ぇ、やったぁ
初めて彼女と過ごすバレンタイン、こんなに嬉しいものなんだねぇ
嬉しそうに顔を緩ませる律

私の心も安堵の気持ちで一気に緩んだ

チョコはかなり不格好になってしまったが、自分なりに上出来だと思う

あのレシピには書いていなかったが、響の助言でオレンジピールとレモンを少し入れてみた

我ながらおしゃれなカフェで出てくるような感じなのでは…!

佐々木 律
佐々木 律
ありがと、大事に食べるね
律に喜んでもらえた…

ただただその言葉が嬉しくて、私も律と一緒に微笑んだ



これからも、こうやって笑い合える日がずっと続きますように。
そう私は深く願った

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