「海人、水飲む?」
散々首にキスを繰り返しておいて、急に紫耀が冷静に提案してきた。
「……飲みたい。」
俺は、紫耀から離れて、冷蔵庫に向かう。
紫耀の分も持っていくと、紫耀は一気にごくごくと飲んだ。
紫耀の喉仏が動くのを見て、また泣きそうになる。
やっぱり酔ってるのかな。ずっと泣いてしまいたい。
「海人、すげー大人っぽくなったね。」
急に言われて、俺は、水を飲みながら紫耀の方を振り向こうとして。
「ぅわっ……。
大人っぽくなった……?」
うまく飲めなくて、濡れた口元を手の甲でこすりながら聞くと、紫耀は、なったよ、と笑いながら呟く。
「今日会った時、きれいになりすぎてて、俺、ちゃんと顔見れなかったよ?」
「きれいって、何……。
髪伸びたからじゃないの?」
男だし、と続ける。
きれいなのは、紫耀でしょ。
俺なんか、ただ狡いだけじゃん。
今だって、酔った勢いで元恋人を家に連れ込んでるわけだし。
心の中で、自分に悪態をつく。
「海人。」
「水と睨めっこしてないで?」
紫耀が、俺の髪に触れてくる。
「こっち見て?
今日店でずっと俺のこと見ないようにしてたでしょ?」
気づいてたんだ。
紫耀を見ると泣きたくなるから、なんて、もちろん言えなくて、俺は、顔をあげた。
優しく目尻にキスをされて、また泣きそうになってしまう。
「紫耀……、お願いあるんだけど。」
紫耀が俺の頬にまた触る。
「優しくしないで。
恋人に戻りたいわけじゃないから…。」
俺の言葉に、紫耀はまた悲しそうな顔をする。
狡いと思う、自分でも。
結局紫耀の優しさに甘えようとしてる。
「ただ、したいだけってこと?」
少しの沈黙の後に、悲しそうな顔で紫耀が言う。
したいのは紫耀だからで、紫耀じゃなきゃ嫌なわけで、他の誰かなんて考えられなくて。
紫耀が好きなだけなのに。
俺は黙って頷いた。
「………分かった……。」
眉間に皺を寄せて、そう呟くと、紫耀は俺の後頭部に手の平を移動させた。
急に乱暴にキスをされる。
息ができないほど。
そのまま、ベルトに手をかけると俺の下着ごと服を脱がせてきた。
「海人、靴下邪魔。」
そう言われて、足元に引っかかっていた、自分の服を靴下ごと脱いだ。
怒らせたのかな。と急に怖くなる。
紫耀の方をそっと見ると、着ていたスウェットを脱いで、俺の方を見た。
ふっと俺を見て笑う。
「優しくしないけど、怖くはしないよ?」
どこまで優しいんだろう。
どこまで俺を許してくれるんだろう。
「海人、俺もお願いがあるんだけど。」
そっと俺の前髪を触りながら、紫耀が言う。
「俺を見て?
俺に抱かれてるって、ちゃんと感じて欲しい。」
「………うん。」
そんなの、最初から紫耀しか欲しくないのに。
でも、それを伝えることはできなくて。
紫耀のきれいな腹筋に見惚れていたら、急に鎖骨にキスされて、そのまま腕の付け根の当たりに噛み付くようなキスを繰り返された。
「しょ……、跡ついちゃうよ……」
小さい声で抵抗すると、紫耀が俺の目をじっと見つめてきた。
「これでしばらく俺のこと思い出せるだろ?」
こんな跡なんかなくったって、紫耀のこと思い出さない日は来ないと思うけれど。
紫耀はキスを繰り返しながら、俺の身体中に跡をつけたがった。
撮影で見えなそうなところはもう遠慮なく跡をつけていく。
内腿に何箇所か跡をつけると満足そうに俺を見る。
「忘れてた。紫耀のエロいとこ。」
俺が文句を言うと、ニヤリと笑って、今度は自分の下半身を俺に触らせてくる。
「海人、キスしてよ。」
紫耀の汗の匂いと、行為中特有の香水の匂いが混ざって、理性も何も失いそうになる。
「しょ……ぉ…。」
キスしたり触れたりを繰り返しながら名前を呼ぶと、もっと名前呼んでよ、と要求されて、俺は必死に紫耀の名前を呼んだ。
その度に俺の頭に触れる紫耀の指が、快感に震えるのが分かる。
紫耀も俺も久しぶりの行為にどんどん夢中になっていって、不意に紫耀が俺の身体をシーツに押し付けた。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。