目を開けば、多分病院の真っ白な天井が映る。
わざわざ目の前で倒れた私を放って行かずに病院まで運んでくれたのかと考えると、今のHAMAにもそんな親切な人がいるんだと感動した。
というか、「始発の電車で倒れても」が抜けていたかもしれない。いつもだったら財布を抜かれたりするのが普通だったんだけどなぁ...。
驚いて返事をしたものの、噛んでしまった舌を抑えて悶絶する。舌を噛んだらものすごく痛いのだ。...あ、でも眠気覚ましにはちょうどいいからオススメしとく。是非やったらいいと思う。
現実逃避もそこそこに声をかけてきた人を見ると、その人は私を助けてくれた人だった。パリッとした服を着ているから、なんだか自分が恥ずかしくなってきた。
仕事でボサボサの頭に、数日におきにしかお風呂に入れてないから臭ってないかなとか。
まあ仮にも女ですから、そういうことは気にするのです。
物凄く丁寧な言葉遣いでお伺い?を立ててくるこの人...なんだろう、とってもいい。かっこいい感じとは少し違うけどよき。
...なんて、真面目な話させてくださいって言われているのならきちんとしないとダメだろう。
思考をおふざけから真面目なものに直していく。
少し、残業続きの深夜テンションみたいなものでおかしくなっているのかもしれない。
私は首を捻るしか無かった。
HAMAツアーズなるものに私を勧誘?それをする意味が理解できなかったから。
特に取り柄もない私を誘うよりは、そこら辺でキラキラ人生を謳歌している人を誘った方がいいのではないかと提案してしまいたい衝動に駆られる。
申し訳ないように見えるように言うと、雁金さんは封筒を差し出してくる。本当に用意がいいことで...。
手渡された封筒を開けて中を見ると、中には文字がびっしり書かれた紙が入っていた。本当になんなのだ、とその封筒を開けてそこにある事実に驚いた。
プリントを投げつけて雁金さんに問う。
にこにこと笑う雁金さんの笑顔が途端に不気味に思えてきた。腹の底が全く見えない不気味な顔、まだブラックな上司の方が可愛げがあるものだ。
私が投げつけたプリントには「あなたの名字あなた調査書」と書かれた私の調査書。そこには今なら絶対分からないはずの私の過去が書かれていた。
あぁ、こんなもの絶対に断ることが出来ないじゃないか。
断ってしまえば以前の生活に戻ってしまう、それだけは避けたかった私にとって最早脅しだった。
考える余地は無い。
差し出された手を見て、私は答えた。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。