カァーン
私が掃除屋のアクタのメンバーの前で
挨拶をすると
棒の先が床に当たる甲高い音が響いた
音の発信元を見ると
私より背の高い男の人と
バチッと目が合った
その人は左手で自身の口元を抑え
驚いたような表情をしている
そして、青い棒が床を目掛けて倒れかかっていた
けど、完全に落ちる寸前でその人はキャッチした
私にとってその人の第一印象は
【反射神経すごっ】だった
ザンカと呼ばれた人が
エンジンの言葉に被せ気味に言った
私に丁寧に説明をしてくれるザンカさん
優しく微笑みかけながら私の方を見るザンカさん……
私が指さすのは
ギュッとザンカさんに握られた私の手
無意識だったのか
私の指摘で手を握っていた事に気づいたようで
申し訳なさそうに手を離す
人肌に触れるのが好きなのだろうか
私は先程繋がれた手に意識を向けていた
またあの大きな手が
私の手を包み込んでくれるのだと思っていたから
けど
私の予想は外れた
ギュッ
ザンカさんの声が私の耳元からする
私の視界は何も見えないけど
お香のような優しい香りがする
そして心地いい温かさを感じる
耳元で囁く声は小さくて
ワンテンポ遅れてから
なんて言ったのか、
この状況がなんなのか理解した
抱きしめられた状態で
ポツリポツリと話し始めるザンカさ…ザンカ
私は脳内が追いつかないのに
ザンカは更に続けて言う
呼び捨てにしてみたら
突然ザンカは私から離れて
両手で顔を隠しながら俯いている
このままだとザンカのペースにのまれると思って
少し距離を取ろうと
1歩だけ後ろに下がったら
ガシッ
突然後ろから声がして
一気に顔が熱くなる
初日からやらかしてしまった
と思いチラッとザンカを見ると
一切瞬きをせず
目を見開いて固まるザンカ
顔は徐々に真っ赤になっていき、
白目を向き
バタン!!!!
と大きな音を立てて倒れた
「あーなるわな」と言いたげな視線をザンカに向ける
ルドと呼ばれてた人なんて
ザンカのほっぺをツンツンしながら生存確認をしている
当の本人
ザンカはピクピクして意識がまだ戻らなそうだ











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!