『きゃーー♡』
『かっこよすぎる♡』
『もう死んでもいいわ♡』
『王子様の登場よ!』
歓声の声が、打ち上げ花火のように、次々と耳に届く。
りんごのように真っ赤な顔をしている女の子や
腰抜かしちゃっている子もいるし、
ビクともしないで石のように
固まっている子も見かける。
何があったの…?と疑問を持ちつつ、
窓から見える景色から目を離し、
歓声の聞こえる方へ足を進める。
扉からひょこっと顔を出し、
女の子たちの目線が向いている方を見ると、
そこには男の子のグループが目に映った。
その男の子たちは周りの女の子のことを
気にする様子もなく、
廊下の窓にもたれかかって普通にお話をしていた。
私の教室から男の子たちがいるところまで
結構距離があるから、顔とか分からないけど、
私にははっきり見えた。
あの輝く素敵な笑顔。
間違いない。
あの子は屋上で話した、
私がずっと探していた男の子だ。
もっと近くで確認したいけど、
女の子がいっぱいで前に進むことが出来ない。
『きゃーー♡』
『てひょん様よ♡』
ひとりの人がそう言った。
て、てひょん…?
確かに名前だよね?
もしかしたら、あの男の子の名前も
分かるかもしれない!
そう思った私は、近くにいる人に
声をかけ教えてもらおうとしたが……
『ほらほら!じょんぐく様よ♡』
『きゃーー♡くさずさいこぅー♡』
みんなあの男の子たちに夢中で
私の声が耳に届いていないらしい。
てか今考えてみたら、
私いじめられてるから聞いたとしても
誰も教えてくれないじゃん……
意味不明な噂が学校中に広がっているし……
もしかしたら、あの助けてくれた男の子の耳にも
その噂が入っているかもしれない。
ひとりぼっちの私が声掛けても相手にされないよね…
私はそのまま教室へ戻った。
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じみんちゃん𝐇𝐚𝐩𝐩𝐲 𝐁𝐢𝐫𝐭𝐡𝐝𝐚𝐲💖
私はバンタンがみんな戻ってくるまで、
ずーっと待っています🍀*゜
素敵な一年になりますように💞
羽 海 .
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!