第39話

第32話 進路をまだ私は知らない
4
2026/02/24 10:00 更新
新学期になる度、進路調査が始まる。
勉強は出来るから別に何処を書こうがその目標が無謀という訳でもない。模試でも好成績だ。よっぽどのことを書かない限りは先生から何か言われることもないだろう。
ただ、私は何か夢があるから勉強をしているわけじゃない。行きたい学部も学校も定まっていないのでプリントが配布されてからすぐには書けなかった。今回も持ち帰りか…。



悩んでいたら放課後、勉強会の時刻になってしまった。



ウボォーギン
今日も頼むぜ。
ウボォーギン
ん、それなんだ。
あなた
進路調査のプリントです。どうするか悩んでいまして…。
あなた
先輩は何処に…あ!
進路…。私は考え無しだ。
高3なのだから大学受験を控えているのだろう。
…それなのに、今まで忙しい人を振り回してたのか?
自分のことしか頭に無かった。
でも…それを知ってしまったから、これからは会うのを控えることになる。
貴重な時間を潰せないから。
今日は人生で一二を争うほどに悪い日だ。
あなた
こんな受験でお忙しい時期にいつもいつも時間を割かせてしまって…今更気が付きました。ごめんなさい。
あなた
寂しくなりますが、その…
これ以上言葉を紡ぐことができない。
言いたいことはたくさんあるはずなのに、感情が邪魔して口を動かせない。
ウボォーギン
勘違いしているところ悪ぃが…
声がする方を見上げる。
ぼやけた視界でも心配していることが伺えた。
ウボォーギン
オレは別に受験しねーからそんなん考えなくていいんだぜ。
ウボォーギン
だからそんなしけた面するな。
そう言われるが涙は流れてしまった。
でも理由は先程の悲しみではなく、喜びと安堵感でだ。
ウボォーギン
ちょっ、大丈夫か。
こんなに慌てた姿を初めて見た。
これ以上気を揉ませまいと顔を隠す。
あなた
ずびばぜっ…うれじぐで…
ウボォーギン
いや何言ってるか分からんから落ち着いてゆっくり話せ。
戸惑いつつも泣き止むまで待ってくれた。 
私の面倒くさい行動に真摯に対応してくれて申し訳なさと感謝で胸がいっぱいだ。
私はそれこそ先輩の卒業までに自分の気持ちと向き合って、蹴りをつけられるようになりたい。
最初に悩んでいた進路目標は結局決まらず、無難なものを書いて提出した。けれどその代わり、この日私には一つの目標が生まれたのだった。

プリ小説オーディオドラマ