続きです
思い出すほどにはらわたが煮えくり返る。
自責の念から傷だらけになった顔には血と憎しみが滲んでいるのは鏡を見るまでもなかった。
そんなあたしを見たあいつは恍惚な表情を浮かべる。
悔しいほどにその通りだ。私の味方などもういない。
身をもって体験したばかりだ。
まるで蟻地獄。あたしが抜け出す手段などすべてが完璧なあいつを前にしてもう残されていなかった。
この時は気づかなかったんだ。体の痛みの違和感に。
明らかに痛みが増していることに。
日本と喧嘩した日、ぎりぎり歩くことができていた。
だがその時は動くことすらままならなかった。
他のことでいっぱいだったのだ。
そして、それも含めてあいつの策略だったのだ。
何も話せなかった。
ガンガン鳴り響く頭でものを考えるのは、亀が空を飛ぶこと以上に不可能だった。
その後は数日放心状態だった。
食べ物すら気持ち悪く感じた。餓死したいとさえ思った。
だが、それはあいつが許さなかった。
昼間は学校に行くため朝と夜、流し込むように食事させられた。
やっと自我が戻ってきたころには一日一食程度なら自分で食事ができるようになっていた
笑顔で囁くその口から、どす黒いものとともに言葉が吐き出される。
それはとても憎らしかった
久しぶりの学校は違和感しかなかった。
皆一枚壁を隔てているように私と距離をとるのだ。
何かいやな予感がしていた。
曇りに曇った彼女の表情は私に向けた言葉が言いたいことの本質ではないことを示していた。
負の感情がすべて混ざった複雑な表情をしていた。
それでもあたしに向けるのは悲しみで、あたしはそれに流されかけてしまった。
祈るように、国連の手を顔の前に持ってきて握った。
温和な国連から苦しそうな歯ぎしりが聞こえた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!