第21話

ど屑 中編
111
2024/04/20 18:15
続きです
思い出すほどにはらわたが煮えくり返る。
自責の念から傷だらけになった顔には血と憎しみが滲んでいるのは鏡を見るまでもなかった。

そんなあたしを見たあいつは恍惚な表情を浮かべる。
CA
ねぇ、かわいそうなほどに馬鹿なアメリカ
CA
思い出しているんでしょ?
大丈夫、安心して。味方は私だけ。そのかわいい顔よく見せて?
悔しいほどにその通りだ。私の味方などもういない。
身をもって体験したばかりだ。

まるで蟻地獄。あたしが抜け出す手段などすべてが完璧なあいつを前にしてもう残されていなかった。
CA
しばらくは学校休もうか。動けないでしょ?
この時は気づかなかったんだ。体の痛みの違和感に。

明らかに痛みが増していることに。

日本と喧嘩した日、ぎりぎり歩くことができていた。
だがその時は動くことすらままならなかった。
他のことでいっぱいだったのだ。

そして、それも含めてあいつの策略だったのだ。
US
何も話せなかった。
ガンガン鳴り響く頭でものを考えるのは、亀が空を飛ぶこと以上に不可能だった。
その後は数日放心状態だった。
食べ物すら気持ち悪く感じた。餓死したいとさえ思った。
だが、それはあいつが許さなかった。

昼間は学校に行くため朝と夜、流し込むように食事させられた。

やっと自我が戻ってきたころには一日一食程度なら自分で食事ができるようになっていた
US
そろそろ登校する
CA
ガリガリじゃん、アメリカ。もう少し休んだら?
US
あんたに関係ないでしょ?
明日から行くから
CA
ふーん
US
あたしが行くと面汚し?
CA
まさか。
愛しのアメリカと一緒に登校できるとか嬉しい限りだよ
笑顔で囁くその口から、どす黒いものとともに言葉が吐き出される。
それはとても憎らしかった
NATO
アメリカ、久しぶり。体は大丈夫そう?
US
ああ、心配かけてごめん
NATO
…国連から話があるんだって。早めに行きな
US
…?おう
久しぶりの学校は違和感しかなかった。
皆一枚壁を隔てているように私と距離をとるのだ。

何かいやな予感がしていた。
US
何の用?
国連
体は大丈夫?
US
ご心配ありがと
曇りに曇った彼女の表情は私に向けた言葉が言いたいことの本質ではないことを示していた。
US
それで、何の用?
国連
すごく言いたくないんだけど…アメリカの一週間の停学が決まったの。
US
…は?
なんで!?あたしが何をしたっていうの!?
国連
わかってるでしょ?
わざわざ言わせないで…
負の感情がすべて混ざった複雑な表情をしていた。

それでもあたしに向けるのは悲しみで、あたしはそれに流されかけてしまった。
US
あたしが何をしたっていうの…!!
言わないとわかんないじゃん!!
国連
違法薬物だよ…
US
やってない!!
国連
私だって信じたいよ!!
でも、証拠が出ちゃったんだもの…
国連
あなたが停学の一週間EU達と相談して後の処分をきめる。
本当は即退学だけど、猶予をあげる
生徒会長だしね。
US
わかった…。
でもお願い、私はやってない…信じて
祈るように、国連の手を顔の前に持ってきて握った。
温和な国連から苦しそうな歯ぎしりが聞こえた。

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