第2話

第2話 もう1人の主人公
77
2024/06/25 16:01



マッシュ・バーンデット
マッシュ・バーンデット
これは...押し戸か引き戸か...どっちだっけ?
   扉の前で押し戸か引き戸か分からず固まっているこの男はこの世界の主人公、マッシュ・バーンデッド。


トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
おいマッシュ...ここは引き戸だ
   そしていつの間にかマッシュの背後に立っていた人相の悪いこの男こそがこの世界の裏主人公でありこの小説の主人公、トラファルガー・ローだ。
マッシュ・バーンデット
マッシュ・バーンデット
あ、ロー
マッシュ・バーンデット
マッシュ・バーンデット
ありがとう
レグロ・バーンデット
おぉマッシュ、ロー、おかえり
   家に帰ると、俺ら二人を保護し男手1つでここまで育ててくれた恩人、レグロ・バーンデッドが出迎えてくれた。

ちなみに、何故俺がバーンデッドの名を名乗っていないのかというと、トラ男はトラファルガーじゃないと全然しっくり来ないからだ。くだらないと思うだろうがこれは俺にとって大切なことだ。
それに、身を呈してまで俺を守ろうとしてくれた前世の家族やコラさんを絶対に忘れたくない。


トラファルガー・D・ワーテル・ロー。


俺は今世もDの意思を背負って生きていく。

なのでレグロさんには悪いが断らせてもらったのだ。レグロさんからはお前がそれでいいならとOKを貰っているしな。
まぁ今世もタトゥーを刻んだら、レグロさんには泣かれ、マッシュは硬直していたが。

という訳で今世も名前はトラファルガーだしタトゥーもしっかり入っている。あの特徴的な帽子も運良く見つけたし。
そして何よりだ、なんとオペオペの能力が失われていなかった。もしかしてと思ってroomを発動すると、青い膜が俺を囲むように出来た。体力も前世と遜色ないため問題なく試行できる。覇気に関しては鍛え直しだが。
あとは切断アンピュテートなどの能力の試行に必要不可欠な鬼哭だけだが、ある訳が無いので何か代用出来るものを探そう。





と思っていた時期が俺にもあった。
見つけちまったよ鬼哭。今日も今日とてマッシュのトレーニングを見学してた時、何か耳鳴りがするなぁと思ったら鬼哭がめっちゃ叫んでた音だった。まぁ何故この世界にあるのかは知らないが、今世もよろしくな相棒。
マッシュ・バーンデット
マッシュ・バーンデット
フンフンフンフンフン...
   何トンあるのか分からない程大きなバーベルをいとも簡単に持ち上げ、残像が見えるほどのスピードでベンチプレスをするマッシュ。何度見ても異様な光景だ。
トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
おい、今日のノルマは達成してるぞ
マッシュ・バーンデット
マッシュ・バーンデット
あ、ほんと?ありがとう、気づかなかったや
マッシュ・バーンデット
マッシュ・バーンデット
...ところでロー、その持ってるの何?
   マッシュはローが肩に掛けてる鬼哭を指さした。
トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
これは鬼哭だ
マッシュ・バーンデット
マッシュ・バーンデット
どっから持ってきたの?
マッシュ・バーンデット
マッシュ・バーンデット
ハッ!?まさか盗んで...!!?
トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
ねェよ
   馬鹿なことを言うマッシュにデコピンを食らわせる。
マッシュ・バーンデット
マッシュ・バーンデット
いたい
トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
フッ、さっさと戻るぞ
   踵を返して歩き始めるとマッシュも後を着いてくる。どちらも無言で歩き続けるが、ふいにマッシュが口を開いた。
マッシュ・バーンデット
マッシュ・バーンデット
ローって背高いよね
トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
そうか?
   歩みを止めることも振り向く事もなく答える。
マッシュ・バーンデット
マッシュ・バーンデット
うん。だってロー、僕と同い年なのに全然違うんだもん
マッシュ・バーンデット
マッシュ・バーンデット
僕より全然大人っぽいし
トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
...背が低いのが嫌なら、俺の能力でどうにかしてやる
トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
だが、性格に関しちゃどうしようもねェ
トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
...俺はお前のその馬鹿正直な性格、好きだぞ
   人を惹きつける才能を持ったお前なら、必ずやり遂げるだろうな。アイツ海賊王のように。
マッシュ・バーンデット
マッシュ・バーンデット
!ありがとう、僕もローのこと好きだよ
トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
.....そうか
   この会話からどちらも一言も喋ることなく家に着いた。




レグロ・バーンデット
じゃあ、じいちゃん出かけてくるからのう
レグロ・バーンデット
決して街に行ってはならんぞ
マッシュ・バーンデット
マッシュ・バーンデット
分かってるよ、じいちゃん
トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
気をつけて行ってこい
   レグロさんを見送るとローはまた医学書を読み始める。しかしマッシュはとあるチラシに目を向けていた。
マッシュ・バーンデット
マッシュ・バーンデット
ごめん、じいちゃん。背に腹はかえられないんだ


トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
待て、何処へ行く気だ
   どこかへ向かおうとしたマッシュをローが引き止める。
マッシュ・バーンデット
マッシュ・バーンデット
これ、ローも食べる?
   マッシュは手に持っていたチラシをローに見せる。するとローは大きなため息を吐いた。
トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
マッシュ、お前...自分がどんな立場にいるか理解していないのか?
トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
街の奴らにアザが無いことがバレれば、お前も俺も、レグロさんだって死ぬことになるんだぞ!
   かつて珀鉛病によりホワイトモンスターと呼ばれ、駆逐され、追われ続ける身であったことから、マッシュにはそんな思いをして欲しくないと諭すように言う。

しかしマッシュの頭はシュークリームのことでいっぱいだった。


なのでローは苦肉の策を発動した。
トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
俺も...連れて行け...!

プリ小説オーディオドラマ