第43話

お前だけ
1,688
2018/01/28 01:18
《テオくんside》



テ「あ、これまだ見てないや」



タップしたのは、俺らの過去動画。



この動画はじんたんの編集だったから
まだ見ていない。



俺は自分たちのチャンネルの動画でも
必ず欠かさず見る。



もちろん自分たちのチャンネルが
一番面白いとも思っている。



よく、自意識過剰だって言われるけど。



横でお酒を飲んで
すぐ酔っ払っちゃって寝ているじんたんを
起こさないようにイヤホンをつける。



決まった挨拶を終え
淡々と話し始める画面の中の俺。



企画はただ俺の高校時代のことを話すだけ。



うわ、何でこんな企画持ってきてたんだろ
疲れてたのかな、と思った。



これはただ自分が話してて面白いだけで
見てるだけのリスナーさんはどうなんだろう。



自分たちのチャンネルを欠かさず見ることは
こういう反省もできるから大事。



ふと、横で口を出さずにいるじんたんに目をやる。



つまんないはずなのに
ころころと表情を変えながら
でも、笑顔で頷きながら聞いていた。



じんたん、本当に聞き上手なんだな。



いつもは



じ「テオくんいつもありがとっ」



とお礼ばっかり言ってくるけど。



じ「俺を拾ってくれたのはテオくんだから」



謙虚にそう言っているけど
本当は俺が、じんたんを必要としている。



どんな話でもうんうんって聞いてくれて
どんなお願いでも最終的には
分かったよ、と聞きいれてくれる。



一緒にいて誰よりも気を遣わない場所。



居心地がいい場所。



テ「俺がお礼、言わなきゃな」



ぽつりと呟く。



じ「ん…てお、く…」



俺の言葉に答えるように
そんな寝言をいうじんたん。



それを見て思わず微笑む。



テ「やっぱ俺にはお前だけだわ、」

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