第6話

4話
247
2025/12/04 11:59 更新
昼下がり、輝かしい太陽の光に照らされて風も心地好く
木々のさざめく音を聞きながら科学学園の授業が行われていた。先生の羽京に加えて、羽京の妹のあなたの下の名前も今日は科学学園のお手伝いをしているようだった。
石化から復活して初めてのあなたの下の名前の友達のひとり、スイカのところへあなたの下の名前は呼ばれ向かっていた。

あなた
どうしたの?スイカちゃん


スイカ
えっと、「ら」が上手く書けなくて困ってるんだよ、、


スイカ
こう、ぐにゃぐにゃしてて、、



「よく分からないんだよーーっ」と、弱々しい声を上げて
スイカは言った。あなたも、近い歳だからか納得していてあなたが小学一年生の時のことを思い出していた。


あなた
あー、「ら」って書くの難しいもんね……



少しだけ「うーん、、」と唸ったあとすぐに
あなた
じゃあ、あなたの見ててね



スイカの持っている筆を借りて、紙に「ら」を一画一画ずつ書いてスイカに見せた。

あなた
これで「ら」になるの
スイカちゃん書いてみてー!


スイカ
う、うん!やってみるんだよ!



そう言って、スイカが張り切って紙に筆で「ら」をゆっくり、ゆっくり書いていった。その様子を、あなたはじっ、と見ていた。
そうして、書き終わった時あなたがぱあっと明るく笑った。

あなた
、、あ!出来てる!!出来てるよ!スイカちゃん!



まさに太陽にそっくりなくらい明るいその声で発された言葉により、スイカはあなたにつられてぱあっと笑って、立ち上がって両手を上へあげた。

スイカ
ほんと?!やったーなんだよー!!


あなた
やったー!!やったー!!



ふたりで、きゃっきゃっとはしゃぐ様子を羽京は他の生徒に教えながら少しだけ見ていた。
羽京は、ふふふ、と微笑んでいた。

獅子王 未来
……ょう、羽京ってば



未来の羽京を呼ぶ声に羽京は、ハッとした。


西園寺 羽京



「ごめん」と言いかける羽京を、未来は遮って笑った。

獅子王 未来
にしし、そうやもんな
久しぶりに妹に会えたもんな


獅子王 未来
そりゃあ嬉しくなるわ



大丈夫だよ、とその表情から見て伝わって来る。
羽京は謝ろう、とも思ったが笑ってそう言ってくれたこと。それで、羽京は言葉を変えた。

西園寺 羽京
……ありがとう



未来は、羽京を見てくしゃっと笑って筆を改めて持ち直した。
羽京はそれに続いて、耳を傾けた。

獅子王 未来
全然ええよ!
それで、これってどないしたらええんかな


西園寺 羽京
それはね、こうやるとやれるよ



その日、科学学園では「出来た!」という声がいつもよりも気のせいかもしれないが、鮮やかに大きく聞こえて来た。















小説版『声はミライへ』の内容を含みます。















五知将を含める者たちが、宝島に向かう前日に開かれたお祭りが開催されていた。
賑やかな声と音に包まれた会場に居る人達は皆、千空特製コーラのように弾けるかのような笑顔だった。
勿論、羽京もあなた達もその一員であった。


着替えが終わったあなたが着替え場所から、一目散に駆け出して自分の兄の姿を探し、抹茶色の浴衣を身に纏う兄の姿を見つけ、後ろから抱きしめた。

あなた
お兄ちゃん!どうかなぁ、この服!似合ってる?



「わっ」と声を上げた羽京が、あなたの声であなただと知って、ゆっくり振り返って目線を合わせた。
羽京は制服姿のあなたを見て幸せそうに目を細めて笑っていた。

西園寺 羽京
あなた!あなたはその服にしたんだね


あなた
そー!スイカちゃんとか未来ちゃんとか、ナマリ君達とお揃いだよ!


西園寺 羽京
とっても似合ってるよあなた!
お兄ちゃん嬉しいなあ、あなたの制服姿見られて



愛おしそうに微笑んで、羽京はあなたの頭を撫でた。
後で羽京がその制服を買い取ってあなたがいつでも着れるようにしよう、ということになった。
あなたは嬉しそうににやけながら、羽京を見ていた。

あなた
えへへ、あなたもお兄ちゃんに制服姿見せられて嬉しい!



そこに、スイカと未来が駆け寄ってあなたに声を掛けた。

獅子王 未来
あなたちゃーん!わたあめ屋のお手伝いしよー!


スイカ
こっちなんだよー!!



スイカ、未来もあなたと同じ可愛らしい制服姿だった。
ふたりとも張り切って、わたあめ屋を運営するのを意気込んでいた。

獅子王 未来
って、お邪魔やった?先にうちらやっとくけど、、



未来があなたと羽京の顔を見て、申し訳なさそうな雰囲気で、先に自分たちでやっておこうとしたが、あなたがふたりを引き止めた。

あなた
ううん!あなたいける!やる!行こっ!
お兄ちゃん、またね!


西園寺 羽京
うん、頑張ってね
お兄ちゃんも後で行くね!


あなた
はーいっ!



そうして、あなたと未来とスイカは3人で仲良くわたあめ屋のところへ走って向かった。
羽京は、そんな3人の姿を見て微笑んでから、人に呼ばれてその場に向かった。



暫くして、日が落ちてきた頃ゲンのマジックショーが終わり、ゲンと羽京、千空とクロムが集った。
皆、わたあめだったり謎のお面だったり猫じゃらしラーメンだったりと、様々なものを手にしていた。


あさぎり ゲン
にしても、お祭りなんて懐かしいねえ〜



ゲンが懐かしむような表情でわたあめを頬張った。
羽京も、それに共感を示した。

西園寺 羽京
うん、懐かしいよね


石神 千空
嗚呼、俺も小せぇ時に親父に連れて行かれて以来だな


あさぎり ゲン
へぇ〜、そうなんだ!
俺さぁ、このわたあめ好きよ



と、ゲンも羽京も手にしているわたあめをゲンが見て
にこにこ笑ってそう言った。

クロム
やべーくらいうめえよな!!!


西園寺 羽京
うんうん、分かる



きらきらとした笑顔を浮かべるクロムに羽京はゲンの時と同様、共感を示して笑っていた。

あさぎり ゲン
家族で夏祭りとか行くの楽しかったなぁ〜
千空ちゃんは、、ってジーマーで興味なさそうね



くすっとゲンが笑ったのを、千空が見てから耳をほじった。

石神 千空
嗚呼、全くな。



即答した千空に羽京とゲンは「やっぱりね」と笑っていた。

西園寺 羽京
あはは、いつも通りだね


クロム
夏祭り、、?



"現代人"であるクロムは『夏祭り』という単語を知らず
首を傾げていた。それを見た羽京が、科学学園の教師故の使命も込めて、クロムに説明をした。

西園寺 羽京
ああ、夏祭りは夏にする、、今やってる祭りみたいなものだね


クロム
なるほどな!



うんうん、とゲンが隣で頷いた。

あさぎり ゲン
そういえば、羽京ちゃん
あなたちゃんと年離れてるじゃない?
あなたちゃんが産まれた時って、どうだっ
西園寺 羽京
あ、ごめん。
ちょっとあなたの様子見て来るからまたね
今日は楽しかったよありがとう



ゲンの言葉をわざとなのか、わざとじゃないのか、遮った。「またな!」と無邪気にそう言うクロムを横目で見ながら、ゲンは止まっていた。千空も、何かしら違和感を抱いていた。

石神 千空
、、羽京の奴


クロム



千空が羽京の向かった先を見つめながらそう呟くのを
クロムが不思議そうにしていた。

あさぎり ゲン
……あんまりあなたちゃんの生まれた時とかについて話さない方がいいのかもしれないね


あさぎり ゲン
(もしかすると、、、、、、)



ゲンはその後に続く言葉を頭に浮かべてはすぐにそれをかき消して、無かったことにした。
そうじゃないと、ダメだと思ったから。

クロム
おう、なんでかは分からねえが任せとけ!


あさぎり ゲン
うんうん、ありがとね〜


あさぎり ゲン
(他の子が話題に出した時にナチュラルに話題転換しておかなきゃね〜)


石神 千空
んじゃあ、そろそろ他のところに行くか


クロム
おう!


あさぎり ゲン
は〜い♪



宝島に向かう前日の祭りは、無事に開催され終了したが、千空とゲン、クロムは、羽京のことが気がかりであった。

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