昼下がり、輝かしい太陽の光に照らされて風も心地好く
木々のさざめく音を聞きながら科学学園の授業が行われていた。先生の羽京に加えて、羽京の妹のあなたの下の名前も今日は科学学園のお手伝いをしているようだった。
石化から復活して初めてのあなたの下の名前の友達のひとり、スイカのところへあなたの下の名前は呼ばれ向かっていた。
「よく分からないんだよーーっ」と、弱々しい声を上げて
スイカは言った。あなたも、近い歳だからか納得していてあなたが小学一年生の時のことを思い出していた。
少しだけ「うーん、、」と唸ったあとすぐに
スイカの持っている筆を借りて、紙に「ら」を一画一画ずつ書いてスイカに見せた。
そう言って、スイカが張り切って紙に筆で「ら」をゆっくり、ゆっくり書いていった。その様子を、あなたはじっ、と見ていた。
そうして、書き終わった時あなたがぱあっと明るく笑った。
まさに太陽にそっくりなくらい明るいその声で発された言葉により、スイカはあなたにつられてぱあっと笑って、立ち上がって両手を上へあげた。
ふたりで、きゃっきゃっとはしゃぐ様子を羽京は他の生徒に教えながら少しだけ見ていた。
羽京は、ふふふ、と微笑んでいた。
未来の羽京を呼ぶ声に羽京は、ハッとした。
「ごめん」と言いかける羽京を、未来は遮って笑った。
大丈夫だよ、とその表情から見て伝わって来る。
羽京は謝ろう、とも思ったが笑ってそう言ってくれたこと。それで、羽京は言葉を変えた。
未来は、羽京を見てくしゃっと笑って筆を改めて持ち直した。
羽京はそれに続いて、耳を傾けた。
その日、科学学園では「出来た!」という声がいつもよりも気のせいかもしれないが、鮮やかに大きく聞こえて来た。
小説版『声はミライへ』の内容を含みます。
五知将を含める者たちが、宝島に向かう前日に開かれたお祭りが開催されていた。
賑やかな声と音に包まれた会場に居る人達は皆、千空特製コーラのように弾けるかのような笑顔だった。
勿論、羽京もあなた達もその一員であった。
着替えが終わったあなたが着替え場所から、一目散に駆け出して自分の兄の姿を探し、抹茶色の浴衣を身に纏う兄の姿を見つけ、後ろから抱きしめた。
「わっ」と声を上げた羽京が、あなたの声であなただと知って、ゆっくり振り返って目線を合わせた。
羽京は制服姿のあなたを見て幸せそうに目を細めて笑っていた。
愛おしそうに微笑んで、羽京はあなたの頭を撫でた。
後で羽京がその制服を買い取ってあなたがいつでも着れるようにしよう、ということになった。
あなたは嬉しそうににやけながら、羽京を見ていた。
そこに、スイカと未来が駆け寄ってあなたに声を掛けた。
スイカ、未来もあなたと同じ可愛らしい制服姿だった。
ふたりとも張り切って、わたあめ屋を運営するのを意気込んでいた。
未来があなたと羽京の顔を見て、申し訳なさそうな雰囲気で、先に自分たちでやっておこうとしたが、あなたがふたりを引き止めた。
そうして、あなたと未来とスイカは3人で仲良くわたあめ屋のところへ走って向かった。
羽京は、そんな3人の姿を見て微笑んでから、人に呼ばれてその場に向かった。
暫くして、日が落ちてきた頃ゲンのマジックショーが終わり、ゲンと羽京、千空とクロムが集った。
皆、わたあめだったり謎のお面だったり猫じゃらしラーメンだったりと、様々なものを手にしていた。
ゲンが懐かしむような表情でわたあめを頬張った。
羽京も、それに共感を示した。
と、ゲンも羽京も手にしているわたあめをゲンが見て
にこにこ笑ってそう言った。
きらきらとした笑顔を浮かべるクロムに羽京はゲンの時と同様、共感を示して笑っていた。
くすっとゲンが笑ったのを、千空が見てから耳をほじった。
即答した千空に羽京とゲンは「やっぱりね」と笑っていた。
"現代人"であるクロムは『夏祭り』という単語を知らず
首を傾げていた。それを見た羽京が、科学学園の教師故の使命も込めて、クロムに説明をした。
うんうん、とゲンが隣で頷いた。
ゲンの言葉をわざとなのか、わざとじゃないのか、遮った。「またな!」と無邪気にそう言うクロムを横目で見ながら、ゲンは止まっていた。千空も、何かしら違和感を抱いていた。
千空が羽京の向かった先を見つめながらそう呟くのを
クロムが不思議そうにしていた。
ゲンはその後に続く言葉を頭に浮かべてはすぐにそれをかき消して、無かったことにした。
そうじゃないと、ダメだと思ったから。
宝島に向かう前日の祭りは、無事に開催され終了したが、千空とゲン、クロムは、羽京のことが気がかりであった。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。