「なにわ男子」が結成した。
2018年、僕が15歳のとき。
関西ジャニーズJrにグループは、要らないと言われ続けていた僕らに、グループが出来た。
選ばれたメンバーは、関西感が強めで、でも、可愛らしい平仮名のある、まさに「なにわ男子」というグループ名のような、8人だった。
今日は、いつもより、忙しい一日を過ごすだろう。
まず、グループの今後の予定や担当などをメンバーと話し合って、決めていく。
選ばれた8名が事務所の会議室に集まった。
8人の声がそろったこの時、僕は、グループの暖かさを思い出した。
でも、この暖かさは、"なにきん"とは違う、希望に満ち溢れているような、感じたことのない温度だった。
沈黙が流れる。
関西ジャニーズJrにグループは、新鮮で、いつもとは違う雰囲気だ。
そんな、空気を和ませたのは、あの、元気な一声だった。
まさかの、挙手制。
しかし、考えてみれば、明るい雰囲気に変えられるようなリーダーは、関西のグループとして、最適だ。
みんな、口々に賛成の声を挙げる。
そんな風に、衣装、グッズ、センターが決まる。
驚いた。僕のダンスがいつの間にか、みんなに知られるダンスに成長していることを。
僕は、迷いなく言う。
"なにきん"の時代でも、黒だった。
僕の色は、あの、焼け野原で、デビューする前に消えてしまった。でも、今度は僕だけの黒で、もう一度、デビューへ挑戦したい。
そんな気持ちを、抱いていた。
その時、会議室のドアが開いた。
開けた正体は、関西Jrを批判していたはずの、ジャニーさんだった。
ジャニーさん「You達、なにわ男子は、」
ジャニーさん「それぞれ、強い個性がある。」
ジャニーさん「だから、今まで、関西にグループは要らないと思っていた。」
ジャニーさん「大倉に言われるまで。」
関ジャニ∞の大倉くんが関西にも、グループが必要だと、ジャニーさんに説得し「なにわ男子」をプロデュースしてくれたのだ。
ジャニーさん「その時、個性があるからこその大切さに気づいたんだ。」
ジャニーさん「You達を見て、ダンスの世界チャンピオンやドラマでの演技力、関西らしいコミニュケーションなど。」
ジャニーさん「その一つ一つをさらに、開花させるためには、グループという仲間が必要だったんだ。」
ジャニーさん「You達には、そんな関西を代表として、愛を届けるアイドルであって欲しい。」
ジャニーさん「そんな意味から、」
ジャニーさん「You達は "なにわ男子" だよ。」
ジャニーさんの本音の気持ちが、僕らの心に一つ一つ、時と共に、刻まれていった。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。