ダンス世界大会
本番当日を迎えた。
世界の色々な人がダンスを披露する中、控室で、僕らは固まっていた。
そう言って差し出された紙袋。
「「クッキーやぁー!✨」」
中身は、有名なケーキ屋さんのクッキー。
いつの間にか、緊張は、解れ、
ふと、流星を見ても、頬が緩んでいた。
「「うん!」」
そして、本番。
僕らは、練習以上に、素早い動きで、キレのある、かっこいいコンビネーションで、舞った。
難関も見事成功。
拍手喝采に包まれて、僕らはステージを後にした。
ステージから、見た景色は、輝いていて、技を披露する度に、目が合う流星の瞳にも、希望が溢れていた。
そんなことを思い出すと、結果はどうであれ、良い経験ができたと思う。
何より、控室で流星が、はじめに発した言葉がこれだ。
だから、僕は、流星を誘ったことに絶対後悔せず、むしろ、良かったと感じた。
そして、結果発表。
5位から1位へ順に発表されていく。
「5th place 〇〇!」
「4th □□□&〇〇!」
「3rd place 〇〇〇〇!」
そろそろ、出てほしいのに、中々呼ばれない。
不安が、高まっていく。
「2nd place △△△&□□!」
1位は、流石にない。
僕の時は、プロの先生がレッスンだったのにも関わらず、ギリギリの1位だったから。
しかも、世界一なんて、夢のまた夢だ。
そう、諦めていたとき。
「First place 心愛舞優&大西流星!」
はっきり、聞こえた。
僕らの名前が。
これは、現実なのか。
同じことを思った流星が僕の頬を人差し指で触って、
と言った。
嬉しかった。
ボロボロの関西Jrが二人でダンスで世界一になったなんて。
そんな、嬉しさに、思わず流星の手をとって、高く舞った。
今の気持ちと同じくらいに、ジャンプした。
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日本に帰国し、関西に戻ってからも、ニュースでは、「関西ジャニーズJr二人 希望のダンス」などと言った見出しばかり。
などと言った、活気を戻していった。
そのため、関西ジャニーズJrに人気を取り戻したりするのは勿論、関西Jrに希望の光が舞い降りたのだった。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。