今日もいつもと変わらない薄い空
皮肉ね…
私には外のことなんて関係ないのに無意味に外を見てしまう
私はそんなことしかできないの
私はいつものように薄汚れたフリルのついたのピンクの服を着て、
こんなプラスチックでできた体なんていらない
少し黄ばんだ帽子を被って、薄ピンクの靴を履いて
私が欲しいのはゆいちゃんを守ることができる力
いつもと同じ姿勢で座って…
なんで私は人形なの?!なんて無気力なの
でもね、私は幸せなの
私が願うのはこの子の幸せ
私だけの天使
この子を傷つけるものは絶対に許さない…
そうよ、絶対に許さない。でもこのままではどうすることもできない
どうしよう
考えるのよ、考えて私
考えても考えても思い付かない
今日はいつものようには眠れていないようださ
うなされてるゆいちゃんを慰めることすらできない
泣き腫らした目でこっちを見るゆいちゃん
あなたが辛くなる必要なんてないのに
あなたは幸せに笑っていてくれればいいのに
急にお母さんの声が壁越しに聞こえた
涙を拭い仕度をするゆいちゃんを見て私はやりきれなかった
私は壁越しに2人の会話を聞く
いや、他にも声が聞こえるこれは誰の声?
ゆいちゃんの泣き叫ぶ声が聞こえる
何があったの?
急に視界が暗転して映像のようにゆいちゃんとお母さんと男の人が2人見えた
初めて見る人たち
1人は中年男性、もう1人は学生くらいの男の子
ゆいちゃんが映像から走って消えた
その後ドアのバタンという音がして
部屋に戻って来たようだ
ゆいちゃんの啜り泣く声も聞こえる
ど、どいうことなの?状況がまったく飲み込めない
また視界が暗転してもとの視界に戻った。
そして目の前でベットにうずくまりながら泣きじゃくるゆいちゃんを見る
そうよね、、私も納得できないわ
あの男が犯人ね、でもわかったところでどうしようもないじゃない
そのときゆいちゃんの部屋のドアを開けて話し終わったであろうお母さん、いや、もうお母さんではないだろう。
娘にこんな仕打ちができるなんて…お金と引き換えに娘を売ったのとおんなじよ!!そんなの、そんなの…
バチンッッそのとき乾いた音が響き渡った
それを聞いた瞬間私はその女がゆいちゃんの頬を叩いたのだと理解した
そのとき私の中でブチンッと何かが切れる音がした
不思議ね
私は空っぽなお人形
中身なんてつまってないのに
そのときあぁ、私は感情があるんだって思った
変な感想
こんなときなのに
ああうるさい、お前も私の天使を傷つけた
許さない
その瞬間私の目の前で女が倒れた
何が起こったか私は理解できなかった
真っ赤に染まったエプロンをかけて転がる女
あぁ、私がやったのか
こいつが天使を傷つけるから
そういう存在はゆいちゃんにとっても私にとってもいらないよね
ゆいちゃんが動揺してるそりゃそうだよね
私が急にしゃべるから
ぼうぜんと座ってるゆいちゃんの真っ黒な髪には赤い雫が滴っている
そのとき私は
この子には椿が似合うなぁ
そんなことを思っていたら口をゆっくりと開きゆいちゃんが話し始めた
そして私はまた目を閉じ、映像のように場面が変わり、家に来た男たちが写った
そしてこの女のようになるよう強くイメージした
赤い液体を散らしながら倒れる男たち、動揺する周り
全部見える
私はこの子を、ゆいちゃんを守る力を手に入れることができたのね!














![ホワイトテール[White Tale]](https://novel-img-gcs.prepics-cdn.com/prcmnovel-tokyo-prod-converted-images/p/6afbf9b5a8ce3b111dd33193558bc489c1474345/cover/01HX1F8P1N1G2CDD7CZF3H55MB_resized_240x340.jpg)


編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。