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第3話

天使の救済
15
2025/03/02 10:20 更新
今日もいつもと変わらない薄い空

皮肉ね…

私には外のことなんて関係ないのに無意味に外を見てしまう

私はそんなことしかできないの

私はいつものように薄汚れたフリルのついたのピンクの服を着て、

こんなプラスチックでできた体なんていらない

少し黄ばんだ帽子を被って、薄ピンクの靴を履いて

私が欲しいのはゆいちゃんを守ることができる力

いつもと同じ姿勢で座って…

なんで私は人形なの?!なんて無気力なの

でもね、私は幸せなの

私が願うのはこの子の幸せ

私だけの天使
この子を傷つけるものは絶対に許さない…

そうよ、絶対に許さない。でもこのままではどうすることもできない
どうしよう
考えるのよ、考えて私

考えても考えても思い付かない
今日はいつものようには眠れていないようださ
結
うぅん
いや、やめて…やめてよ…
うなされてるゆいちゃんを慰めることすらできない
結
はッッ
はぁはぁはぁ
泣き腫らした目でこっちを見るゆいちゃん
結
ユキちゃんっ私、もうダメかもしれない…
あなたが辛くなる必要なんてないのに
あなたは幸せに笑っていてくれればいいのに
結の母
結の母
結、起きたの?
大事な話があるの、辛いだろうけどちょっとこっちに来なさい
急にお母さんの声が壁越しに聞こえた
結
う、うん
今いく
ちょっと待ってて
涙を拭い仕度をするゆいちゃんを見て私はやりきれなかった
結
ど、どうしたのお母さん
私は壁越しに2人の会話を聞く
いや、他にも声が聞こえるこれは誰の声?
結
あ、あなたは!!!なんでここにいるの!出てってよ!
ゆいちゃんの泣き叫ぶ声が聞こえる
何があったの?
急に視界が暗転して映像のようにゆいちゃんとお母さんと男の人が2人見えた
初めて見る人たち
1人は中年男性、もう1人は学生くらいの男の子
?
うちの馬鹿息子がこの度は誠に申し訳ないことをした…取り返しのつかないことだとわかっている、だが更生する機会が欲しいんだ…この通り息子は反省していて…
犯人の父
犯人の父
ほら!おまえも謝れ!!
犯人
犯人
す、すいませんでした…
結の母
結の母
そういうことなの結…あなたは女の子だしこういうことがあったって知られたら嫌でしょう?私もご近所さんの目とかもあるし…
結
は、は?こんな簡単には私は終わらせられない!!ちゃんとこの人のしたことをきちんと法で裁いて欲しいの!
結
だから!!こんなの認められない!!
ゆいちゃんが映像から走って消えた
その後ドアのバタンという音がして
部屋に戻って来たようだ
ゆいちゃんの啜り泣く声も聞こえる
結の母
結の母
まだあのこ取り乱してしまって…
犯人の父
犯人の父
ではお母さん、300万円で警察への被害届を取り下げていただく、ということでよろしいですかね?
結の母
結の母
ええ、あのこも落ち着いたら理解してくれるはず
犯人の父
犯人の父
ではこの件はこれで…
おい!帰るぞ馬鹿息子
おまえのせいでこんなことに…何回目だと思ってるんだ!いい加減反省しろ
犯人
犯人
はぁい
ど、どいうことなの?状況がまったく飲み込めない
また視界が暗転してもとの視界に戻った。
そして目の前でベットにうずくまりながら泣きじゃくるゆいちゃんを見る
結
お母さんなんでわかってくれないの…私はこんなの納得できない
そうよね、、私も納得できないわ
あの男が犯人ね、でもわかったところでどうしようもないじゃない
そのときゆいちゃんの部屋のドアを開けて話し終わったであろうお母さん、いや、もうお母さんではないだろう。
娘にこんな仕打ちができるなんて…お金と引き換えに娘を売ったのとおんなじよ!!そんなの、そんなの…
結の母
結の母
ゆい?落ち着いた?お願いだから分かって?あなたのためなの
結
お母さんなんであの人を許せるの?!私は絶対にこんな形で終わるなんて納得できない!!
あなたなんか!お母さんじゃない!!
バチンッッそのとき乾いた音が響き渡った
それを聞いた瞬間私はその女がゆいちゃんの頬を叩いたのだと理解した
そのとき私の中でブチンッと何かが切れる音がした
不思議ね
私は空っぽなお人形
中身なんてつまってないのに
そのときあぁ、私は感情があるんだって思った
変な感想
こんなときなのに
結の母
結の母
全部あなたのためを思って!!!誰が育ててきたと思ってるの??そんなことくらい我慢しなさ…
ああうるさい、お前も私の天使を傷つけた
許さない
私
消えちゃえば良いのに…
その瞬間私の目の前で女が倒れた
何が起こったか私は理解できなかった
結
え…?
真っ赤に染まったエプロンをかけて転がる女
あぁ、私がやったのか
こいつが天使を傷つけるから
そういう存在はゆいちゃんにとっても私にとってもいらないよね
結
お、お母さん?お母さん!!
ユキちゃんがやったの?
私
ええ、そうよ、だってあなたを傷つけるから…目を覚ましてゆいちゃん、あなたには私しかいらないでしょう?
あなたを理解できるのは私だけ
あなたを幸せにできるのも私だけ
大丈夫、いらないものは全部消そう
ゆいちゃんが動揺してるそりゃそうだよね
私が急にしゃべるから
結
ユ、キちゃん?ユキちゃんがしゃべってるの?
結
ま、まってお母さんが…
私
ええそうよ、私よ
でもよく考えて、お金で娘を売るお母さんなんて必要?
ぼうぜんと座ってるゆいちゃんの真っ黒な髪には赤い雫が滴っている
そのとき私は
この子には椿が似合うなぁ
そんなことを思っていたら口をゆっくりと開きゆいちゃんが話し始めた
結
そうよね、こんな人お母さんなんかじゃない…私には必要ないわ
ユキちゃん、お願いがあるの…
私に無理矢理…ひどいことをした奴らにも報復を!
私
ええ、もちろん
だってあの2人もあなたの幸せに必要ないものね
そして私はまた目を閉じ、映像のように場面が変わり、家に来た男たちが写った
そしてこの女のようになるよう強くイメージした
赤い液体を散らしながら倒れる男たち、動揺する周り
全部見える
私はこの子を、ゆいちゃんを守る力を手に入れることができたのね!
私
全部終わったよ、ゆいちゃん
これであなたを傷つけるものはいなくなった
安心して
あなたは私が守るから

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