青井らだおは私の元弟子だ。
もう何年も前の話だが、忘れていないようで安心した。
「ナツメ」という人物は知らないが、どうやら私の他にも師匠と呼べる人物がいるようだ。
そこら辺の話は是非とも詳しく教えて欲しいが、それは今ではない。
そう言って私は、手錠により拘束されたニャンコ・スキーを指さす。
渋々といった様子ではあるが、らだおはニャンコ・スキーをヘリに乗せると、そのまま警察署があるであろう方角へ向けて飛び立っていった。
しかし、随分と速度を上げていたようだが…事故を起こさないことを願ってやるとしよう。
そう告げると皇帝と共にパトカーへと乗り込む。
感動的…とは言えないが、弟子との数年ぶりの再会である。
できることならゆっくりと話がしたいものだ。
警察署に着くと、仁王立ちしたらだおが出迎えてくれた。
事故ってなくてよかったよ。
「押し付けた」の間違いでは?
そう言って警察署の扉を潜る。
もちろん、私の後には皇帝も続いている。
というか、今更だが一般人が入って大丈夫なのか?
ちゃんと上の人間に許可取ってるんだろうな?
階段を登る途中、不意に下の階から声が聞こえた。
1階よりも更に下、どうやら地下からのようだ。
なるほど。
声の人物は先ほど言っていた「成瀬」だったか。
というか、やはりコイツ他のヤツに仕事押し付けたのか…
はたから見れば喧嘩のようだが、彼らからは一切の怒気も嫌悪感も感じない。
喧嘩するほど仲が良いとか言うやつだろうか。
そんな彼はこちらの存在に気づいたようで下から覗き上げてくる。
しかし、なんとも妙ちきりんな警官だな。
ペンギン頭の人間なんて犯罪者一歩手前ではないか?
ニャンコ・スキーといいこの街には随分と妙な格好のヤツが多いな。
思いがけず人数が増えてしまったが、それだけらだおが周りから信頼されているということだろう。
そんな事を思いつつ2階に上がると、そこには私たち以外の誰一人もいない。
確かに話し合いには丁度いい場所だな。
さて、何から話してやるとしようか。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!