第5話

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2026/02/27 12:02 更新
青井 らだお
取りあえずここに座ってください

そう言ってあてがわれたソファーに私は腰掛ける。


机を挟んで対面にらだお、左右には皇帝と成瀬がそれぞれ座る。


私以外の3人は警察官であるためさながら尋問のような絵面である。
青井 らだお
えっと…それで師匠━━━━━━
あなた
まずその「師匠」って言うのをやめろ

そう言って続く言葉を遮る。
あなた
さっきも言ったように私はもうお前の師匠ではない。故にその呼び名は不適切だ
あなた
それに、お前には他にも師匠と呼べる人物がいるんだろ?
青井 らだお
じ、じゃあなんて呼べばいいですか?
あなた
ん?そんなもの「あなたの名字」でも「あなたの下の名前」でも好きなように呼べばいいだろう?
青井 らだお
…じゃああなたの下の名前…さん
あなた
ああ、それでいい

随分と呼びづらそうではあるが、こればかりは慣れてもらうしかあるまい。
成瀬 力二
っていうか「あなた」って名前なんですね
ニックス・リア
我も初めて聞いたな

そういえば、展開が怒涛すぎて名乗っている暇がなかったな。


特に、皇帝には既に名乗ってもらっている分、多少の申し訳なさを感じる。
あなた
そうだったな、すまない。まだ名乗ってなかった
成瀬 力二
そういえば俺もちゃんと自己紹介してなかったわ
あなた
じゃあ改めて
あなた
あなただ
あなた
よろしく頼む
成瀬 力二
成瀬力二です
成瀬 力二
「成瀬」または「カニかに」って呼んでください。

成瀬は分かるがカニかに


いや、しばらく過ごして分かった。


この街はそういうところだ。
青井 らだお
えっと…それじゃあ本題入っていいですか?
あなた
ああ、もちろん
ニックス・リア
まず我から…というか我と成瀬からいいか?
ニックス・リア
2人の関係について詳しく教えてほしいんだが

やはりそれか。


まぁ、この2人からしたら知らないやつがいきなり同僚の元師匠を名乗っているわけだからな。


ここで明らかにしておくべきだろう。
あなた
今までの会話から元師匠と元弟子というのは分かるだろ?
成瀬 力二
ええ、まぁある程度は察しがついてましたけど
青井 らだお
俺がこの街に来るよりもずっと前、確か10年くらい前に師事してた人だよ
あなた
正確には12年前だな
ニックス・リア
は?
成瀬 力二
は?

2人の声がシンクロする。


そんなに驚くことだろうか?
ニックス・リア
じ、じゅうに…ってことはらだおが20歳くらいのときだよな?
成瀬 力二
32歳のらだおパイセンが20歳のとき…

なぜ煽る?
青井 らだお
…ふぅ〜〜〜

息を吐きながら席を立つらだお。


青色の刀を背中から抜き、ゆっくりとした足取りで成瀬の方へと歩みを進める。


お前年齢の話地雷すぎるだろ。
あなた
おい、落ち着けらだお。座れ

言うとらだおは、一瞬迷ったように動きを止めるが、持っていた刀を背中に納めると、再び席へと腰掛けた。
あなた
そんなに大事か?年齢が

思わず呆れた声でそう聞いてしまう。
青井 らだお
大事ですよ。周りが皆俺より若い人ばかりでおじさん扱いされるんですから

事実では?
ニックス・リア
ん?ていうかちょっと待って
ニックス・リア
あなたの下の名前さんが昔らだおの師匠やってたってことはあなたの下の名前さんってらだおよりも年…上?
青井 らだお
!?お前それはヤバいって!
成瀬 力二
女性に年齢の話は御法度だろ!
ニックス・リア
え?あっ、ご、ごめんなさい!
あなた
いや、別に構わないよ。気にしないでくれ
成瀬 力二
皇帝パイセン、マジで反省したほうがいいですよ
成瀬 力二
キャシー先輩やネル先輩だったらロケランですら生ぬるい可能性がありますから

野蛮すぎるだろ。


大丈夫かこの街の警察。
青井 らだお
えっと…あの、ししょ…あなたの下の名前さん

今コイツ師匠っていいかけたな。
あなた
なんだ?
青井 らだお
その…失礼を承知で聞きたいんですけど、実際今いくつなんですか?
成瀬 力二
は?お前まじで言ってんの?俺の話し聞こえてたよな?

今にも掴みかかりそうな剣幕で声を荒げる成瀬。


どうでもいいが、お前この中で一番後輩だよな?
青井 らだお
いや、分かってるんだけどさ、あなたの下の名前さんって俺が会ったときから見た目が一切変わってないんだよ
成瀬 力二
12年前から?
青井 らだお
…うん

なるほど。


そういうことか。


らだおの記憶力を少々見誤っていたようだ。


まさか12年前のことを鮮明に覚えていようとは。
あなた
あ〜…そうだな…
あなた
年齢…か
青井 らだお
あっ、嫌だったら全然言わなくて大丈夫です
あなた
いや
あなた
少なくとも、お前たちより年上であることは確かだな
そう当たり障りのない言葉で返しておく。


まぁ、嘘はついてないし大丈夫だろう。
あなた
さて、この話はもういいだろ。他にも聞きたいことがあるだろうし
青井 らだお
あっ、はい
青井 らだお
あの、いつからこの街にいたんですか?
あなた
今日だよ、11時くらいだったかな
ニックス・リア
ってことは入国して1時間くらいで事件に巻き込まれた?
あなた
そうなるな
成瀬 力二
ヤバすぎ

今思えば確かにそうだな。


まさか入国して1時間で死ぬ、もといダウンする可能性があったとは。


俗に言う「死にゲー」のほうがまだ優しいだろ。
青井 らだお
えっと…それで、何のためにこの街に?
あなた
…少しばかり面倒な仕事が片付いたんだよ。要するにしばしの休暇だ
青井 らだお
あっ、じゃあ1週間くらいの滞在になる感じですか?
あなた
いや、最低でも1年はここで暮らすつもりだ
成瀬 力二
えっ、そんなに休んで大丈夫なんですか?
あなた
ああ、何も問題はない
成瀬 力二
何の仕事してるんですか?
あなた
すまないが秘密だ
ニックス・リア
お金とかは大丈夫なのか?
あなた
いや、今のままでは半月も保たん
あなた
できるだけ早くこの街での仕事を探さなくてはな
成瀬 力二
そこら辺の計画は何も立ててないんですね

随分と痛いところを突いてくるな。


今までの環境と比べたら万倍マシだと分かってたから、少しばかり楽観的だったかもしれんな。
青井 らだお
あの…あなたの下の名前さん
あなた
どうした?

らだおが遠慮がちに声を上げる。


なぜだろう。


控えめな様子ではあるがそこには勇気や決意のようなものが感じられる。


不思議に思い続く言葉を待っていると、ゆっくりとらだおの口から━━━━━

















青井 らだお
警察やりませんか?

そんな言葉が発せられた。









追加情報


年齢 不明→32歳以上


入国理由 不明→休暇


警察官「青井らだお」の12年前の師匠


ロスサントスには1年以上滞在予定

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