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第14話

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2022/09/08 03:07










次に目が覚めた時、俺は知らない場所に居た。
























コンクリートで出来た立方体のような部屋に、俺は普段部屋着にしているスウェットを身につけて横たわっていた。靴は履いていなくて、コンクリートの冷たい感触が俺の体温を奪っていく。



















右側に見えた銀色の扉から出ようと体を起こすと、手の方からカチャ、と音がした。


















嫌な予感がして視線を動かすと、

俺の手首には

手錠が掛かっていた。













ジョンウだ。












ジョンウがやったんだ。










身体はガタガタと震え、手や額から汗が滲んだ。



























手錠は手首と手首の間の鎖に長さがあって、食事をしたり漫画を読んだりすることはできそうなものの、その鎖は壁に着いたフックで固定されていて、手首を切り取らない限りこの部屋からは出られないようになっている。

















逃げなきゃ



でもどうやって?



いつからここにいた?



ここはどこ?



ジョンウはどこに行ったんだ



今何時?



大学は?






















俺は、いつまで生きていられる?





















頭の中に 死 の一文字が浮かんだ。

















『 出せ!!!出せよ!!! 』





声が枯れるまでそう叫んだ。

けれど扉は一向に開く気配を見せず、無機質な塊のままそこから動こうとしない。手首にかけられた手錠のせいでドアノブに触れようとしても届かなかった。

涙が出た。

まだ死にたくない。

親に、友達に、挨拶していない。

まだやりたいことが、やり残したことが沢山ある。

これから俺は幸せな人生を歩んでいくはずだったのに。

普通の生活を送っていけるはずだったのに。




























どれだけ泣いたかわからず、涙が枯れた時だった。

天井からぶら下がる電球が微かに揺れて、ドアが開いたのだ。






「 いっぱい泣いたの?悠太ぁ、目が真っ赤になっちゃってる。僕がいなかったから寂しかったの? 」






何食わぬ顔で俺の瞼をなぞる狂人に嫌気が刺した。とにかく気持ちが悪かった。触らないで欲しかった。

でも、目の前に映る優しくて美しい顔に、言葉が出なかった。物怖じしてしまった。それくらい、いつもの優しいジョンウだったから。






『 ち、が、... 』

「 ご飯持ってきたから、一緒に食べようよ。これ、悠太好きでしょ?好きって言ってたもんね 」






そいつは飄々と床に座って食事を準備し始めた。
さも当たり前かのように、習慣化しているように。






「 ほら、食べないと栄養不足になっちゃうよ 」






いつまで経っても箸を持たない俺に、そいつは眉を下げてこういった。でも食べられるはずがなかった。俺に手錠をかけて、監禁して、暴力を振るったやつが作った料理なんて、危険だと思ったから。






「 悠太 」






ジョンウはいつもの優しい声色で俺の名前を呼んだ後、料理を箸で俺の口の中に突っ込んだ。

痛い

箸が喉の奥を刺して少しだけ血の味がした。





『 ん"ッ、...う"ぇ...、 』

「 食べないとだめだって。ね? 」






そうやって笑ったやつの表情はいつもの優しい顔だった。ただ、目の奥に灯る白い光は見えなかった。









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