一瞬みんな、顔に出ない者もいれど動揺したよう
だった 。
でもそれも何人かは雰宇へ意識を向けて無理矢理
頭の端に追いやった 。
クロヱは怖がっている雰宇に近づくと彼の目を覆う
ように手をかざす 。
手を離した時には雰宇は目を閉じて眠りへと身を
任せていた 。
大丈夫なのかとここにいる誰かが声を掛けようとする
頃にはクロヱは雰宇を軽々と抱え上げていた 。
所謂、姫抱き 。
クロヱは見た目によらず力持ちなようだ 。
顔色1つ変えずに廊下に続く扉の方へ歩を進めて
いた 。
ばたん、と音を立てて扉は閉まる 。
それに合わせたのか偶然かまたこの部屋に灯りが
灯った 。
那柚は顔を少し顰めて言った 。
もっとも彼女は他人に関心があるとは思えないので、
別に雰宇の事を気にしてではなく彼女的に不快な内容
があの映像にあったからなのかもしれなかったが 。
那柚の「あの映像は気分が悪い」という言葉に対して
みんな詮索されたくないのか特に発言する事はないが
同意見なようだ 。
あんな物を見たあとに和気藹々と何かする気分には
なれない 。
澪 side
みんなが散り散りに、自分の惹かれる場所へと歩を
進める 。
とりあえず行った事のない廊下の方に進んで、
ふと目の止まった部屋にはいる事にした 。
木製の少し重い扉を押すと、古い紙の匂いとそもそも
不自然な程に静かなのに更にそれすらも吸い込んで
しまうような静けさが俺を迎えた 。
たぶん書庫だろう 。
なんだか心がざわめいて、深呼吸してその紙の空気で
肺を満たした 。
それでも落ち着かなくて、落ち着くような場所を
求めて棚の間を歩く 。
棚に綺麗に並べられた日本のものから異国のものまで
ありそうな古めかしい本を眺めながら歩いてると、
他の立てられた本とは違い横に寝かせられて下段に
いれられている本が視界の端に見えた 。
これだけこんな入れられ方をするだろうかと手に
取った 。
触ってみると本、というよりは手帳のようなものだと
わかる 。
そう言ったあと、そんなはずないと自分で否定
した 。
こんなところに、というかこの屋敷内に誰かの忘れ物
なんてあるとは思えない 。
他の7人はここに来ていないだろうし、クロヱも手帳
なんて持ち運ばなそうだ 。
とはいえその誰かのものともわからないので一応
中を見ようとページをめくる 。
目に飛び込んできた文字は見覚えのあるもの
だった 。
_____________________
今日も変わらずいじめられた
でもあいつと一緒だから
あいつが笑ってくれるからいいんだ
本当は自分も辛いくせに
俺の事は頼ってくれないんだから
_____________________
そんなはずない 。
でも
間違うはずもない 。
思わず名前を呼ぶ 。
大好きだった、大切だった …
俺が壊した、親友の名前 。
先程から彼の事を彷彿とさせるものが多すぎる 。
橙夏との夢を見て早く起きてしまったし、今朝のあの
気味の悪い映像の中にあった黒髪と茶髪の少年…
見た直後は気の所為だと割り切ったがこんなものを
見るとどうにも自分と橙夏だったように思える 。
読み進めようとも思ったが、途端に怖くなって
やめた 。
「今じゃない」と言われているような気がして 。
その手帳…もとい日記帳を閉じる 。
彼の物だと決まったわけではないのだが、置いていく
のも忍びなくてポケットにしまい込み書庫の更に奥を
見ようとまた進み始めた 。
すいません!
11月更新できなかった!
12月はもう一度できるかできないかかもしれません…
そもそも更新遅いのに受験控えてるので更に遅くなる
可能性が…ちまちま進めてはいます
遅くなっても完結はしっかりする予定ですので!!






















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。