案内されて辿り着いた扉を潜ればそこは1つの長机に
椅子が並んだ貴族の食卓のような場所だった 。
壁際にはおしゃれな食器棚 、壁には小さな絵画が
いくつか掛かっていてここもまたアンティークっぽい
家具で統一されている 。
裏の調理場などに調理するような料理人かなにかが
いるのかは知らないが 、表に出てくるのはクロヱ
だけらしい 。
調理は既に済んでいたらしく 、すぐにクロヱが木で
できた大きなワゴンに料理を乗せて戻ってきた 。
しばらくして机の上に全ての料理が並べられたが品数
も多く一つ一つが豪華で圧巻だ 。
各々好きなものを皿に取り分けて口に運んでいく 。
自分の好物を見つけた者 、バランスよく食べる者、
黙々と甘味のみを口に運び続ける者 …
食べ方も実に多様だ 。
普段ならば豪華でテーブルマナーなどを気にして少し
萎縮してしまいそうな食卓ではあるが 、どうせこれ
を見ている者は自分達とクロヱしかいない 。
遠慮せず和気あいあいと談笑しながら箸を進めた 。
談笑といってもここに来るまでの話や好みなどは大方
先程話してしまったので今見えている料理の話ばかり
ではあるのだが 。
やがて全員が満腹だと手を止めた 。
沢山あった料理達もほぼ自分達の腹の中に詰め
込まれている 。
少しだけ残ってしまっていて申し訳なくはあるが 、
食べれないものは仕方がない 。
軽くクロヱに1言謝るが特に気にしているようには
見えない 。
まぁ 、この量を全て食べ切れると思って出しては
いないのだろう 。
部屋に戻ると先ほどまでと変わらない景色が広がって
いる 。
食卓に行く前のようにそれぞれ席に座る 。
しかしその時とは違い 、長い沈黙が続いた 。
話題がないのは朝食の途中と同じだが朝食時とは違い
目の前に広がる物について話す事もないのでなんとか
話を続けるなんて事もできなかった 。
しばらくクロヱを待っていると突然灯りが消えた 。
天井のシャンデリアも 、部屋の所々にあるランプも
全て 。
皆が動揺するのを感じたがやがて部屋の中が明るく
なった 。
ただ 、シャンデリアやランプ達は未だに灯りを
灯さず口を閉ざしたままで 。
光源は想像もしていなかったものだった 。
プロジェクターから映像が真っ白な壁に映されて
いる 。
それもまた昔の映画館にありそうな黒いレトロな
アンティークらしいものである 。
映されている映像にはなんの意味もなくグレーっぽい
色が壁を染め上げている 。
一同の視線がその壁に注がれた 。
そのタイミングを見計らったかのように一度映像が
パッと消えて 、また再度つき今度は意味のありそう
な映像を流し始めた 。
音も流れてはいるが音質は悪い 。
黒い髪の少年と茶髪の少年が虐められているような
映像 。
__ なお顔は見えない 。
虚空に話しかけているような少女の姿 。
__ これも顔は見えない 。
誰かの陰口を言う女子達の映像 。
__ 名前の部分は酷く乱れていて聞き取れない 。
少しずつ心を病んで元気をなくしていく少女の姿 。
__ もう1人分少女の声が聞こえるがその姿は
見えない 。
横断歩道に倒れる青年とひしゃげたトラック 、
道路の血溜まり 。
__ これももう1人分声は聞こえるが姿は見えない。
教室での虐めとクマのキーホルダー 。
ヒステリックな表情でこちらを怒鳴るような女性 。
暗い部屋と注射器の映像 。
そこまで移したあとにプロジェクターは止まり映像は
消えた 。
見る前と変わらない者 、動揺する者はいるが …
朝食までは談笑するほどだったのに明らかに空気が
変わったのは明らかだった 。
ここから多分どんどん不穏 … です!
更新は恐らく月2、3回だと思います
忙しい時は1かも
受験生ゆえ … ご了承ください






















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。