なおきり side
あのLINEから数日後、遊郭へ行く日になった。
そして現在、僕ら4人は遊郭へ続く一本橋を電車に乗って渡っている。
遊郭は東京から長い長い一本橋で繋がっている人工の島にあるんですよね。
橋はすごく長いから、専用の電車に乗らないと行き来できなくなってるらしいです。
じゃぱぱさん含め4人で行けるなら、行きたいと思ったんだから、居てくれないと困る。
正直、遊女と遊んでる自分が想像できなかったから雰囲気だけまずは楽しみたいところですね。
窓の外を見ていたヒロくんの声で一斉にみんなが外を見る。
窓の外に見えたのは、高い高い壁。
島全体が高い壁で覆われていた。
それほどまでに逃げられない遊郭って遊女にとって鳥籠みたいですね……
ガタン プシュー
色々気になることはありますが…
どーせ行くからには楽しみましょう!
うり side
ガヤガヤガヤガヤ……
窓の外からは客引きの声、遊郭を見て回る客の声、足音…とかとか色々聞こえてくる。
それを眺めながら好みの人を探す俺ら。
…冷静に考えると中々シュールじゃね?
早く終わらせたくなってきたわ。
こいつらも同じ考えかよ
さっきからゆあんの元気がないとこが気になってるんよね。
そんな水揚げが嫌なんか?
まぁ好きな人はいないか。
ここに無理やり馴染むしか無かった俺らとはここにいる長さも違うしな。
そう言ってたっつんは窓の外に向き直る。
俺もさっさと決めるために見ますかねっと。
五分ほど4人でまた外を眺めていると、一際大きな声が聞こえた。
なんか声が通るんだか通らないんだかわかんない特徴的な声だな。
そう思って、その声の持ち主の方を見る。
どうやら、男4人組らしい。
物珍しそうに周りを見てるのが印象的で他の3人に声をかけた。
それだけのつもりだった。
……は?
……は??????
いやまてまてまてまてまて
まさかこの2人あいつらに一目惚れしたとか言う?!?!?!
いや、確かにあの4人組の顔面偏差値高いけどさぁ!
特にあの髪が灰色の優しそうな男とかかなりいいと思うけどさぁ!
だとしてもこんな…特にあのたっつんが顔真っ赤なんて……
……一目惚れって存在してるんだな…………
はぁ……とりまこいつらのためにとりあえずあの4人組捕まえてもらうか。
あ、やべ、ゆあんの考えてなかったわ
ゆあんが未だにぽけっとしてる二人を見て察したのかため息をつく。
まだ不満そうだが、なんとか納得してくれたみたいで良かった。
えとさんがいつの間にか戻ってきて声をかけられた。
さすがえとさん、仕事が早いぜ!
よし、舞台は整ったみたいだし、2人の恋を応援しますかねっと。
まぁ……この世界でできる恋愛なんで限られてはいるけどな。
こんな慌てるたっつん見るのおもろいなw
そう思いながら、顔を真っ赤にして叫ぶたっつんを放置して俺はゆあんとどぬを追って俺は外に出た。
あわよくば、
あの灰色の髪の男が俺のとこに来るといいな
と「無意識」に思いながら。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!