第3話

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2024/05/26 13:23
たっつん side

tt ⚡️
んっ………


窓の外が少し明るくなって目が覚める。
隣には全くタイプじゃない男が寝ている。
どっかの社長の息子らしいが、俺にはそんなこと知ったこっちゃないねん。
俺を高い金で買ってくれるかどうかしか興味が無いんや。



…早く着物直さなあかんな。



俺の仕事は「花魁のたっつん」を売ること。
朝に身体を見せるまでサービスする必要無いやろ。


着物を着直すのにもいい加減手馴れた。
何年も何年もこの遊郭の中にいれば嫌でも覚えるしかないんや。
モブ男
たっつん…?
tt ⚡️
…なんや?
モブ男
一緒に寝ようよお
tt ⚡️
…あぁ
「俺はそんなに安うない」
そう言いたいのをぐっとこらえる。
サービスしたくないとはいえ、客や。
適度にお金を落としてもらえるくらいには構う必要がある。


ぎゅ
tt ⚡️
ッ……
いやいや男の腕の中に行き、また浅い眠りにつく。
いっそ寝てる間は現実逃避になるからな。
たっつん side
tt ⚡️
ありがとうございましたぁ
モブ男
じゃあ、また来るねたっつん♡
tt ⚡️
…(ニコッ
気持ち悪い言葉には嘘の笑顔でお返しをした。



さてと…、二度寝でもするかねぇ…
ur 🎸
おい!たっつん!
tt ⚡️
んあ?
あぁ、うりか。
ur 🎸
またあいつ来たのかよ
tt ⚡️
あぁ…、よっぽど俺の身体に興味があるようやね
ur 🎸
あいつセックス下手そうだからやだなぁー
tt ⚡️
おまっ…相変わらずセックスセックスうるさいねん
ur 🎸
だってよぉ…
この世界で正気保つにはソレ好きになるしかないだろ?
tt ⚡️
はぁ…
うりの言うことは事実。
うりと俺は虹桃屋の花魁や。
芸を売り、甘い言葉を売り、自分の身体を売る。
花魁だから相当な金持ちじゃないと会うことすら難しいとはいえ、世の中にお金持ちは思ってるより沢山いる。
だから、自分の正気を保つためにセックスを好きになった方が楽に決まってんねん。
rn ❄️
あ、2人とも!シヴァさんが呼んでましたよ!
ur 🎸
うげっ!二度寝できないじゃん!
tt ⚡️
あー!うりのせいで俺も寝そこねたやんけ!
ur 🎸
どうせ、えとさん辺りに起こされるから変わんないんじゃない?
tt ⚡️
まぁそれもそうやな。
rn ❄️
なんでもいいですから早く行ってきてください!
tt ⚡️
ほーい
ur 🎸
へーい
たっつん side
うりと一緒にシヴァさんの部屋に入る。
正直今回はなんの用か検討がついてへんのよな。
na 🍪
あ、やっときましたね!
tt ⚡️
のあさんもいんのか
ur 🎸
暇なの?
na 🍪
はぁぁぁぁぁぁ?!?!
na 🍪
私のどこが暇なんですか!!!
ur 🎸
え?今暇そうじゃん?
na 🍪
どこをどう見たらそうなるんですかっ?!?!
ur 🎸
どっからどう見ても?
na 🍪
うりさん…えとさんに言いつけますよ?!
ur 🎸
えぇぇぇ!それだけはご勘弁をぉぉぉ!
tt ⚡️
…ふははっ!
2人の会話聞いてると、ここが遊郭ってことを忘れそうになるなぁ。


普通に外の世界で友達として出会いたかった

…なんて言ったとこで何も変わらんから言いひんけどな


sva 🐸
のあさんにも一応話聞いてもらった方がいいかなって思って呼んだんだよ。
ほーん…
普段の生活の取りまとめ役をしてるのあさんも聞いといた方がいいって…まぁまぁ重要な話やな。
sva 🐸
あと、本人たちね。
シヴァさんはそう言ってドアの方を向く。
ur 🎸
本人?
ん?俺らの話じゃないんか?
yan 🍗‪
失礼しまぁーす…
dnk 🦊
こんにちは!
et 🍫
どうもー
ur 🎸
ゆあん?!
tt ⚡️
どぬ?!
なんでこいつらが?
yan 🍗‪
なんかいきなり連れてこられた…
na 🍪
あ!えとさん!連れてきてくれてありがとうございます!
et 🍫
いやいや、これが仕事だし!
et 🍫
んじゃ、私戻るね!
na 🍪
はい!ありがとうございました!
sva 🐸
ありがとねー
状況をよく飲み込めていない内にえとさんが帰ってしまった…
yan 🍗‪
あのー、なんで俺らが?
ur 🎸
そーですよ!こいつらまだ水揚げも済ましてないのになんの話…
sva 🐸
そう!それ!
dnk 🦊
それぇ?
sva 🐸
水揚げだよ
tt ⚡️
あー…そろそろそんな時期になったんか
遊郭で働く遊女は、教育を受けたあとしばらくは先輩遊女にくっついて客と話をする。
そこで十分経験を積んだら、水揚げ、つまり初えっちをしてから、1人前の遊女と認められる。
yan 🍗‪
っ…………
dnk 🦊
水揚げってなんですか?
ur 🎸
セックスだよ、セックス。
えっちの方が伝わるか?
dnk 🦊
ふぇっ?!///
na 🍪
もう…、女子もいるんですからちょっとは言葉にごしません?
ur 🎸
いや、遊郭でバリバリ働いてるのあさんに言われても
tt ⚡️
今回に関してはうりが正しい気すんなぁ
やって、俺らが身体売ってるのを取りまとめてるのは、のあさんやんか。
na 🍪
はあ…まぁその通りですけどね
yan 🍗‪
水揚げ…ってしないといけませんか
sva 🐸
…ここで働くからにはしてもらう必要がある
sva 🐸
だって君たちは遊女としてここにいるのだからね
yan 🍗‪
…………
ur 🎸
おいおいおい、ビビってんのか?
yan 🍗‪
…そんなんじゃねーし!!
ur 🎸
ほんとかぁ?w
ゆあんくんがちょっと震えてる気がすんのも気になるけど
tt ⚡️
どぬ、顔真っ赤だけど大丈夫か?
dnk 🦊
だ、いじょうぶ?
na 🍪
混乱するのも無理は無いかもしれませんが、これも必要なことです
na 🍪
ですが、初めてくらい、好みの人がいいかと思いましてね
tt ⚡️
なぁ、俺らん時そんなんあったか?(コソッ
ur 🎸
いや?無理やりその辺の金持ちとやった(コソッ
tt ⚡️
だよなぁ…(コソッ
sva 🐸
今までそーゆー風にやってたら他の店だけどトラウマになった娘がいたらしくてね
あれ、聞こえてたんかい
sva 🐸
できるだけ最初はトラウマにならないようにとの上からのお達しがあったってわけ
なるほどなぁ。
ゆあんくんとどぬにはトラウマになって欲しくないからそこはよかった。
yan 🍗‪
…トラウマ…ねぇ…(ボソッ
dnk 🦊
すきなひと…?えっち…?(混乱
なんかふたりはまだ混乱してるみたいやけど…
ur 🎸
はいはいはいはい!俺らも好みの子とヤりたい!
tt ⚡️
いまさらか?
ur 🎸
たっつんだってタイプの子とならもうちょい楽しいかもしんないじゃん!
tt ⚡️
そーゆーもんかねぇ
でもどーせそんなの聞き入れられないやろ
と、一瞬抱いた淡い期待を諦めようとした
sva 🐸
いいよ
tt ⚡️
はっ!?
tt ⚡️
いいん?!
ur 🎸
ぃやったぁぁ!
sva 🐸
2人はうちの売れっ子花魁だからね…
sva 🐸
たまには好きな客とってもいいんじゃない?
シヴァさん的には大事な花魁の俺らを繋ぎ止める餌が来たとか思ってんかね
シヴァさんの性根が優しいのはこれまでの付き合いで十分わかってるんやけど
それ以上に虹桃屋のことを考えているからなぁ
sva 🐸
ただし!条件がある。
tt ⚡️
条件?
sva 🐸
君たちは花魁だ
sva 🐸
自分から身を差し出すような軽い立場では無い
sva 🐸
だから、店に入れるのを選ぶまでは許可するから、その後は自分で選ばれなさい
ur 🎸
つまり、俺らの魅力で自力で選ばせろってことね
まぁ、花魁だもんな。


それこそ俺らはそんなに安うない。
値段も、価値も。
sva 🐸
そう。
あと、ゆあんくんとどぬの2人は普通に選んだのをとりあえず身体の関係無しで付けてみるから。
yan 🍗‪
俺らは選んだのがそのままってこと?
sva 🐸
そう。まだ見習いだからね。
dnk 🦊
そっかぁ…優しい人がいいなぁ
tt ⚡️
どぬを傷つけそうなやつはまじで許さん
ur 🎸
それはそう
ur 🎸
ゆあん、お前も気をつけろよ
yan 🍗‪
…わかってる
…さっきからゆあんくんの調子がおかしいのが気になるなぁ…
ちゃんとよく見ておかなあかんな
na 🍪
じゃあ、3階の外見える部屋で4人とも待機すればいいですかね?
sva 🐸
そうだね。そんで良いのがいたらえとさんとるなさんに頼んで連れてきてもらって。
ur 🎸
わっかりましたぁ!
tt ⚡️
んじゃ、俺らは一旦寝るかぁ
さっき、寝そこねたしな
ur 🎸
お前らも寝れるうちに寝とけよー
うりが下を向いて考え込んでいるゆあんくんとまだちょい顔が赤いどぬに向かって言う。
dnk 🦊
う、うん
yan 🍗‪
…ん
sva 🐸
んじゃ!解散!
na 🍪
また夕方集合ですからね!
のあさんの声に手を振って返事を返して4人で外に出る。
ur 🎸
んじゃ、また後でな
tt ⚡️
おう
部屋が反対側にあるうりに手を振って別れる。
tt ⚡️
んで…ゆあんくん?
yan 🍗‪
なに?
tt ⚡️
ここに来る遊女が色々あるのはわかっとるけど
tt ⚡️
…あんま無理せんといてな
tt ⚡️
俺らを頼ってくれ
yan 🍗‪
…ん、たっつんありがとう
dnk 🦊
そーだよ!俺だってゆあんくんに頼られたいよ!
yan 🍗‪
…わかってる笑。ありがとね、どぬ
dnk 🦊
うん!
少しゆあんくんの顔が明るくなったからとりま良しとするか。
tt ⚡️
んじゃ、俺もここで。
またあとでなー
yan 🍗‪
じゃあなー
dnk 🦊
またねー!





ゆあんくん達と別れ、部屋で布団に入り考える。
俺の好きなタイプってなんやろな……




まぁ、もしいるのなら
太陽見たいな人がいいなぁ



この暗い夜の街を忘れられるくらい眩しい太陽みたいな人。




そんな人が遊郭に来るとは思えへんけどな。
まぁ、探すだけ探してみよう。


そんなことを思いながら俺は眠りについた。

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