第11話

第11話 運命を変える力
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2019/06/26 09:09 更新
倉野瑞穂
倉野瑞穂
結局、戻ってきちゃった……
学園祭一週間前の朝。
私はゆっくりと、学校への道を歩いていた。
もうループはやめようって思ったのに、私はまたこの時間に戻ってきている。

私が一条くんを諦めれば火事を防げるのなら、身を引こうと思った。
でも、一条くんの彼女が大沢さんの場合でも、火事は起きた。
もう……どうしようもないのかな。
大沢かおり
大沢かおり
待って、倉野さん
倉野瑞穂
倉野瑞穂
えっ!?
後ろ誰かから声をかけられた。
今までこんなことなかったから、心臓がバクバクする。
大沢かおり
大沢かおり
ごめんなさい、びっくりさせちゃった
倉野瑞穂
倉野瑞穂
……大沢さん!
一週間後には、一条くんの彼女になる、大沢かおりさん。
私は、この一週間を何周もしているから知っているけど、もともと私と大沢さんは面識がなかったはず。
大沢かおり
大沢かおり
話したことはないけど、あたしのこと知ってくれてるのね
倉野瑞穂
倉野瑞穂
あ……えっと、その、噂レベルでっていうか
大沢かおり
大沢かおり
何回目?
倉野瑞穂
倉野瑞穂
……え?
大沢かおり
大沢かおり
あなたは何回、今日に戻ってきたの?



お昼休み、私と大沢さんは美術部の部室で話すことにした。
倉野瑞穂
倉野瑞穂
大沢さんが美術部だったなんて、知らなかった
大沢かおり
大沢かおり
実は、最近入ったの。学園祭のアーチ作りをしたかったから
倉野瑞穂
倉野瑞穂
アーチ……
大沢かおり
大沢かおり
あのアーチを倒さないように、しっかりと作らなきゃって思ったの
大沢かおり
大沢かおり
それに、美術部にいると一条くんと話す機会ができるから
怖い……。
大沢さんは、何を話すつもりなんだろう。
大沢かおり
大沢かおり
なんだか怖がらせちゃってるみたいだから、単刀直入に話すわね
大沢さんが微笑む。
私を、落ち着かせようとしてくれてる?
大沢かおり
大沢かおり
私、時間をループさせることができるの
倉野瑞穂
倉野瑞穂
大沢かおり
大沢かおり
普通ならバカにされる話なんだけど、あなたは違うわよね?
大沢さんが、じっとこちらを見つめてくる。
きれいな目。
これは、一条くんも好きになっちゃうよね。
……って、そんなことを考えてる場合じゃない。

私は、覚悟を決めた。
倉野瑞穂
倉野瑞穂
うん。私も時間をループさせられるから
大沢かおり
大沢かおり
やっぱり……
倉野瑞穂
倉野瑞穂
どうしてわかったの?
大沢かおり
大沢かおり
あなたがまるで、この先のことを知っているみたいに行動してたから
大沢かおり
大沢かおり
普通の人ならわからないだろうけど、私は時間がループしているのを知っていたから、気が付いたんだと思う
大沢かおり
大沢かおり
少しずつ、あなたの行動に無駄がなくなっていったの
倉野瑞穂
倉野瑞穂
それでも……よく気が付いたね。
面識のない私の行動に
大沢かおり
大沢かおり
一条くんのことを見ていると、あなたが必ず側にいたから
そうだ。
私たちはそもそも、恋のライバルだったんだ。

私たちは、正直にお互いの状況を話すことにした。

私も大沢さんも、ループの目的は同じ。
一条くんとお付き合いすること……だった。
でも、必ず火事が起きて一条くんが不幸になる。
最終的に、ループの目的は火事の回避になった。

……というところまで、私と大沢さんは一致していた。
大沢かおり
大沢かおり
変な話よね。
こんな、アニメみたいな能力を持っている人が、近いところに2人もいるなんて
倉野瑞穂
倉野瑞穂
私の場合……私自身に能力があるんじゃなくて、お父さんの形見のぬいぐるみがやってくれてると思うの
大沢かおり
大沢かおり
私は、一条くんの家が火事になって絶望したとき、気が付いたら戻ってたっていう感じなの
お互い、ループのスイッチは違うみたい。
ただ、こういうのを研究する学者さんでもないし、それがどういう意味があるのかはまったくわからない。
倉野瑞穂
倉野瑞穂
ここまでの話をまとめると……私は、一条くんと付き合うためにループしてたんだけど……
大沢かおり
大沢かおり
あたしは最初それを知らずに、自分が一条くんと付き合うためにループしてた
倉野瑞穂
倉野瑞穂
そして、どちらが一条くんと付き合ったとしても、火事が起きる
大沢かおり
大沢かおり
そう。だから……倉野さんにお願いがあるの
大沢さんが、身を乗り出した。
大沢かおり
大沢かおり
あの火事が起きないようにするために、ふたりで協力したいの

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