第8話

最終話「解離性障害」
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2025/10/27 10:00 更新
ぼく(プレイヤー)
ぼく(プレイヤー)
「……犯人は、テディと物書きだ」
ぼくは静かに宣言した。

物書きは驚いた顔をした。
探偵も一瞬、眉をひそめた。
テディ――あの子は犠牲者じゃなかったのではないか。
夜の惨劇で倒れていたのは、罠だった。
血も、演出だったのかもしれない。

そう思った瞬間、ぼくの中で決意が固まる。
──投票は、生きている可能性のあるテディを含めた。
そのとき教室の奥の扉が、ギィと軋む音を立てて開いた。
そこに立っていたのは、テディだった。
血まみれの姿は、まさに幻のように見えた。
そして、笑っている――いや、笑っていない。
目が、何かを知っている光で光っていた。

「……ずっと、見てたよ」
テディは低く囁く。
「死んだと思ってた? 演出さ。全員を試すための」

物書きは動揺し、探偵は机を叩く。
「そうか……すべて計画通りだったのか!」


突然、割り込むように謎の声が再び響く。

『プレイヤーだけが、すべてを見抜いた。
ここまで辿り着けた者は、他にいない。
これが、“破滅学級”の真のゲーム――そして真実だ』

正解か不正解か…?

『……正解。よくやった、プレイヤー』



そして、黒板に文字が浮かぶ。

「犯人:物書き」
「テディは……生きていた」
「ゲームクリア。生存者:プレイヤー、探偵、」
胸を撫で下ろす。
静まり返った教室。
死の匂いと、虚無の空気だけが残っている。
テディは姿を消し、物書きは処刑された。

生き残ったのは、探偵とぼく――ただ二人。

探偵は椅子から立ち上がり、ゆっくりとぼくに歩み寄る。
足音が、床を鳴らすたびに心臓が締め付けられる。
その目は、冷たく、真実を見通すようだった。
探偵
探偵
「……ねえ、プレイヤー」
探偵
探偵
「ずっと、考えてたんだ」
探偵
探偵
「君だけが、声を聞いていた。
 君だけが、テディの“生死”を疑った。
 君だけが、全ての死を――見ていなかった」
胸がドクンと鳴った。
逃げ場がない。
空気が、急に重くなる。

探偵はぼくの肩に手を置き、ゆっくりと囁いた。
探偵
探偵
「君は……いったい、誰なんだ?」
その瞬間、頭の奥で――
“あの声”がまた、囁いた。

『……もう、隠せないよ。ぼく。』



視界が揺れた。
天井も、床も、探偵の姿も――ぐにゃりと歪む。
黒板の文字が滲み、教室がひび割れていく。
ぼく(プレイヤー)
ぼく(プレイヤー)
「やめろ……やめてくれ……!」
ぼくは頭を抱えた。

『君は、プレイヤーじゃない。
この学級の“主催者”であり――
そして、ぼく自身だ』



探偵の声が遠くなる。
ぼくの口から、別の声が重なるように漏れた。
ぼく(プレイヤー)
ぼく(プレイヤー)
「……ああ、そうか。
 “ぼく”は……“ぼく”じゃなかったんだ」
探偵は一歩、ぼくに近づき、はっきりと告げた。
探偵
探偵
「君は、解離性障害者だ。
 “プレイヤー”も、“声”も、“テディ”も、すべて君の中にいる」
目の前が真っ白になった。
頭の中で、ぼく、ぼく、ぼく……と声が反響する。
すべての記憶が反転する。
犠牲者たちの声も、笑い声も、恐怖も――全部、ぼくの中だった。

『この学級は、君の心の中だよ』



ぼくは、ゆっくりと顔を上げた。
探偵は変わらず、静かにぼくを見つめていた。
まるで――ぼくのもう一人の人格のように。
ぼく(プレイヤー)
ぼく(プレイヤー)
「……君は……誰?」
探偵
探偵
「ぼくさ。ずっと、君と一緒にいた」
そして、世界は崩壊した。
黒板も机も、血も、犠牲者も。
すべてが、音もなく消えていく。

残ったのは――
“ぼく”と、“ぼく”だけだった。

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