その後も、投票は続いた。しかし犠牲者が増えるのみ。
教室に残ったのは、三人だけだった。
探偵、物書き、そしてぼく──プレイヤー。
椅子に座ると、空気は重く、時間が止まったようだった。
窓の外は灰色の霧。
夜の犠牲者の惨劇が、まだ頭の中で生々しく響く。
ぼくが吐き出すように言うと、物書きは小さく頷いた。
探偵は黒板を指差し、淡々と告げた。
ぼくは視線を二人に向ける。
しかし――どちらも怪しい。
探偵は冷静すぎる。物書きは黙りすぎている。
夜の惨劇を経て、心の中の秤は完全に揺らいでいた。
“間違えれば、死ぬ”
あの謎の声が、頭の奥で囁く。
思考が絡まり、心が裂ける。
でも、選ばなければ──ぼく自身が次の犠牲者になる。
手が震える。
頭の中で、事件の記憶を必死に整理する。
アイドル、人狼、先生――あの惨劇。
投票を間違えたせいで、死んだ命たち。
そして、テディの存在。
あの子は犠牲者じゃなかった……?
この混乱の中で、テディの真意は全くつかめない。
ぼくは息を吸った。
残る二人の目を見て、ゆっくりと口を開いた。
黒板に文字が浮かぶ。
「投票完了」
空気が凍りつく。
探偵は表情を変えない。物書きも黙ったまま。
だが、どちらかが笑うかもしれない。
どちらかが、次の罠を仕掛けているのかもしれない。
この瞬間、ぼくは悟る。
――もう、誰も信じられない。
信じられるのは、自分自身だけだ。
そして、ゲームの本当の恐怖は、まだ始まったばかりだということを。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。